1991 Fiscal Year Annual Research Report
連続的心筋酸素消費量測定による開心術後心機能の評価
Project/Area Number |
03670667
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
奥 秀喬 近畿大学, 医学部・心臓外科, 助教授 (40122030)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鎌田 典彦 近畿大学, 医学部・心臓外科, 助手 (00214510)
岩岡 慶太 近畿大学, 医学部・心臓外科, 助手 (40223367)
家村 順三 近畿大学, 医学部・心臓外科, 講師 (40232144)
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Keywords | 心筋酸素消費量 / 開心術 / 心機能 / fiber optic catheter / 冠静脈血酸素飽和度 |
Research Abstract |
■基礎的研究:開心術後の心筋身素消費量を測定する目的で、まず次の予備実験を行った。雑種成犬を全身麻酔下に開胸し、超音波血流計を冠状静脈洞内に留置した。測定した血流速度の平均値と冠状静脈洞断面積から左室心筋潅流血液量を算出した。同時に冠状静脈血ガス分析を行い、これらから心筋酸素消費量を測定した。次に本実験として、単純超低体温循環停止下に心内手術を施行し、蘇生後の心筋酸素消費量の変化を観察することを試みている。■臨床研究:心筋酸素消費の一つの指標として、冠状静脈洞内酸素飽和度(以下CS02)を測定した。【方法】開心術時に直視下に冠状静脈洞内に4Fr.fiber optic catheterを留置し、術後最大48時間連続的に測定した。同期間中、心拍出量を成人例では熱希釈法で測定し、小児では混合静脈血酸素飽和度(以下SV02)から推測した。【対象】対象は8例。先天性心疾患が7例で、年齢は26歳の1例を除くと1歳から9歳平均3.8歳、後天性は1例のみで68歳の弁膜症であった。大動脈遮断時間は平均34.5±29.1分であったが、弁置換例、ファロ-四徴症2例はそれぞれ58,72,77分で、他は17分以下であった。【結果】CSO2は術後3、6、12、18、24時間でそれぞれ31.1±20.7,34.2±19.0,41.8±14.4,52.8±15.9,57.9±13.9%であった。術後6時間までは低値を示したが、術後12時間以降は術後3時間値に対し統計学的に有意な上昇を示した。SV02からCS02を引いた酸素飽和度較差も、CS02と同様3時間値に対し12時間以降有意に改善がみられた。大動脈遮断時間58分以上例と17分以下例でみると、有意差はないものの12時間後まで前者で低値を示した。【考察】冠状静脈洞酸素飽和度は心筋酸素消費量のほかにカテコ-ルアミンや血管拡張薬による冠動脈血流量の変化や冠循環遮断下の嫌気性代謝も影響すると考えられ、今後症例数を重ね、術後早期の心機能評価となり得るか検討したい。
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