1992 Fiscal Year Annual Research Report
実験脊髄損傷における電気生理学的検討ならびに早期薬剤投与の効果に関する研究
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03670668
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
岩崎 喜信 北海道大学, 医学部, 助教授 (00113522)
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Keywords | 脊髄損傷 / オートラジオグラフィー / ステロイド |
Research Abstract |
T7/8硬膜外クリップ法によって作製したラット脊髄損傷モデルの脊髄血流及び病理組織所見の経時的変化について検討した。 平成3年度までの結果では灰白質では損傷部に強い血流低下を認め、損傷部から頭尾側へ離れるに従って血流低下は軽度であり、コントロール群とステロイド大量投与群間に有意差は認めなかった。白質においても損傷部ではコントロール群、ステロイド群ともに血流低下が認められ、両群に有意差はなかった。しかしながら損傷部から頭側及び尾側に離れた部位の白質では、コントロール群において血流が維持もしくは増加傾向にあったのに対し、ステロイド群では血流の低下傾向がみられた。 本年度はさらに6時間後の脊髄血流変化について検討した。その結果、灰白質においては損傷部及びその頭尾側ともに進行性に血流低下がみられ、これはコントロール群、ステロイド群とも同様であった。しかしながら白質においてはコントロール群において損傷部及びその周辺部位ともに進行性の血流低下が認められたのに対して、ステロイド群では損傷部周辺での血流低下の抑制傾向がみられた。 病理組織学的にも損傷部はコントロール群、ステロイド群ともに挫滅、出血性壊死が著明であったが、損傷部より5mm離れた部位ではコントロール群において後索を中心とした出血性壊死を認めたものの、ステロイド群では明らかな異常所見を認めなかった。 脊髄損傷急性期にステロイド大量投与療法を行なうことにより、損傷部周辺の白質の血流低下が抑制され、また後索を中心とした出血性壊死の伸展が抑制されていることが判明した。
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