1991 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト視床ー皮質路機能及び病態についての多角的研究ー難治性機能的脳疾患(不随意運動、頑痛)の外科的治療ー
Project/Area Number |
03670671
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
平戸 政史 群馬大学, 医学部, 助手 (00173245)
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Keywords | depth microrecording / PET scan / thalamic pain / intralaminar nuclei / rigidity / hyperkinesia / hemitremor / thalamocortical tract |
Research Abstract |
1.中枢性疼痛(視床痛)例、表在性疼痛優位群では、電気生理学的に外側視床感覚核の自発発射活動は低く、逆に、内側の髄板内核群の活動が特にその背側部で高かった。これは深部痛優位群の同部の活動と比較しても高い。そして、周波数解析から、その活動のピ-クは200ー400Hz帯域に認められた。又、この群では、不規則なburst dischargeを認めることが多く、特に髄板内核背側部で頻発していた。これらの所見は、この群においては以前脳代謝の解析により示された、皮質糖、酸素代謝の維持と相関する所見と思われる。すなわち、表在性疼痛優位群(視床病変群)では、疼痛を生ずる上で、内側の髄板内核群の活動がirritableな状態にあることが重要な意味をもつものと思われる。 2.難治性不随意運動、固縮例では、局所脳糖代謝の解析から、大脳基底核の活動が亢進し、皮質中心溝付近の活動は低下していた。これに対し、Hyperkinesia例(Chorea、Dystonia)では大脳基底核の活動が低下し、皮質中心溝付近の活動は亢進していた。これはパ-キンソン病例で、基底核部梗塞後Hyperkinesiaを呈した例でも同様であった。従って、固縮とHyperkinesiaにおける基底核と皮質の機能は対照的であるといえる。又、LーDOPAの投与により、片側固縮例の局所脳代謝が正常例と同様の状態に変化した。一方、片側振戦例では、自然経過例であれ、手術による人為的例であれ、脳代謝上共通した特徴を有し、症状対側皮質中心溝付近、及び視床前部において局所的な活動の亢進を認めた。従って、これら不随意運動の維持、伝達には、基底核ー視床ー皮質を含む神経回路が(振戦例では視床ー皮質路)重要な役割を演じていることが推定される。 3.視床内微量伝達物質の測定については、現在、測定機器のセッティングを終え、動物実験(サル)の段階にはいっており、正常例、実験的振戦例での検討を予定している。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] M.Hirato,S.Horikoshi,Y.Kawashima,T.Shibazaki,C.Ohye: "Different cerebral metabolism between parkinsonian rigidity and hyperkinesia(DID,Chorea,Dystonia)ーPET study." Advance Neurol. (1992)
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[Publications] M.Hirato,K.Satake,Y.Kawashima,C.Ohye: "Activity of the thalamic intralaminar nuclei in the patients with central(thalamic)pain." Processing & Inhibition of Nociceptive Information. 199-202 (1992)
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[Publications] M.Hirato,K.Satake,S.Hirikoshi,Y.Kawashima,T.Shibasaki,C.Ohye: "片側振戦例における局所脳代謝の特徴ーPET studyー" 機能的脳神経外科. (1991)
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[Publications] M.Hirato,Y.Kawashima,S.Hirikoshi,T.Shibasaki,C.Ohye: "A possible role of the VIM and intralaminar nuclei for central(thalamic)pain." Pain Research. 6. 153-164 (1991)
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[Publications] M.Hirato,Y.Kawashima,T.Shibazaki,T.Shibasaki,C.Ohye: "Pathophysiology of central(thalamic)pain:A possible role of the intralaminar nuclei for superficial pain." Acta Neurochir(Wien). 52(suppl.). 133-136 (1991)
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[Publications] M.Hirato,C.Ohye: "中枢性疼痛(視床痛)における視床感覚核の可塑的変化および視床ー皮質路の役割" ペインクリニック. 12. 620-627 (1991)