1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03670711
|
Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
宮内 義純 奈良県立医科大学, 医学部, 助手 (20221608)
|
Keywords | Osteosarcoma / Rat / Metastasis / FOY / YIGSR / RGDPS |
Research Abstract |
1)抗転移効果を有すると考えられる物質を、持続投与することによってその効果を明らかにする。高転移系腫瘍S-SLM G46右後肢皮下に移植した後、ポンプを用いて持続的に薬剤を投与しました。さらに、腫瘍を移植した患肢を移植後3週にて切断し、移植後5週にて肺表面の結節数を肉眼的に計測しました。その結果、第1群:無処置群197.0±226.0個、第2群:生食水群214.6±43.7個、第3群:YIGSR+FOY群300個以上、第4群:YIGSR+FOY+切断群14.8±5.5個、第5群:RGD+FOY群170.0±72.3個、第6群:RGD+FOY+切断群32.2±24.3個、第7群:FOY群94.5±71.0個、第8群:FOY+切断群107.6±100.1個であった。統計学的適には、WillamsのWilcoxon検定にて、第1群と比して第4、6群では、1%以下の危険率で有意に形成される肺転移巣数の減少がみられた。 また、近年血管新生抑制物質が、腫瘍の転移を抑えるとの報告があり、わたくしたちのモデルとポンプを用いてこの物質(TNP-470)を持続的に投与しました。その結果、対照群における肺転移巣数が、194.4±95.3個に対して、10mg/week投与群では、1.0±1.5個と統計学的に有意差をもって減少していました。今後この物質を使用してさらに転移抑制についての実験を進める予定です。 2)高転移系細胞におけるプロテーアゼおよび癌遺伝子の発現を調べ、その特徴を明らかにする。現在、高転移系細胞におけるTransin(Stromelysin)のmRNAの発現量をNorthen Blottingの手法を用いて検索し、低転移系細胞と比較検討しましたが、明かな相関はみられませんでした。 3)当教室では、もう一つのラット骨肉腫を継代しています。これは、30代以上の継代移植にもかかわらず骨形成能を維持しています。今年度は、異所性仮骨の治療薬であるEHDPを投与することによって、その増殖能と転移能に与える影響を検索する事を開始しました。
|