Research Abstract |
慢性関節リウマチの動物モデルであるタイプ||コラ-ゲン関節炎マウスを用いて,その病因を明らかにするためにリンパ球の各分化過程における異常について検討した。 8週齢のDBA/IJマウスを用いて、型通りタイプ||コラ-ゲン関節炎を発症させた。感作前、感作後2,4,6,8週時に骨随血,胸腺,リンパ節,未梢血を採取し,それぞれより比重遠沈法によりリンパ球を分離した。Lyt2(サプレッサ-,キラ-細胞),L3T4(ヘルパ-,インデュ-サ-細胞),B220(B細胞)の各抗体を用いてリンパ球サブセットの検討を行った。 未梢血リンパ球では,感作後2,4,6,8週のいずれの時期においても有意のLyt2陽性細胞の減少とB220陽性細胞の増加が認められた。しかし,L3T4陽性細胞には有意の変動は認めなかった。さらに,リンパ節においては末梢血と全く同様の変動が認められたが,胸腺では有意のサブセットの変動は認めなかった。一方,骨随血では,末梢血と同様の変動を認めるとともにL3T4陽性細胞の有意の増加も認めた。 これらのことから,タイプ||コラ-ゲン関節炎のリンパ球は骨随のレベルにおいてすでにヘルパ-,インデュ-サ-細胞,B細胞の増加とサブレッサ-,キラ-細胞の減少が存在することが明らかとなった。その後のリンパ球分化・過程において胸腺では、異常を認めず,リンパ節および末梢血においてサプレッサ-,キラ-細胞の減少とB細胞の増加を認めた。胸腺およびヘルパ-,インデュ-サ-細胞の変動が分化過程でマスクされている結果については,骨随と末梢の異常誘導過程の共存の可能性もあると考えられ,実際の炎症の場である滑腺についてもリンパ球サブセットの検討中である。
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