1991 Fiscal Year Annual Research Report
Bromodeoxyuridine 標識法による膀胱前癌病変の観察
Project/Area Number |
03670742
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
八竹 直 旭川医科大学, 医学部, 教授 (60028579)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 博 旭川医科大学, 医学部, 講師 (90180835)
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Keywords | 膀胱癌 / 前癌病変 / Bromodeoxyuridine(BrdU) |
Research Abstract |
膀胱の前癌病変の把握に、bromodeoxyuridine(BrdU)標識法による、S期細胞の比率や分布様式の観察が有用であるかを検討した。 雄ラット5匹に0.05%BBNを10週間摂取させ、50mg/KgのBrdUを腹腔内に投与した2時間後に膀胱を摘出、PAP法によりBrdU陽性細胞を同定し観察した。組織学的に、単純性過形成(S)を73、乳頭状あるいは結節状過形成(PN)を57、乳頭腫(Pa)を14病巣観察したが、陽性細胞(S期細胞)の比率の点では、組織のgrade upに比例した有意の増加は認められなかった。 陽性細胞の分布様式の検討では、基底膜と離れた細胞(非基底細胞)における陽性所見の有無、及び、基底膜上における陽性細胞の連続性の有無を観察した。その結果、非基底細胞における陽性所見が得られた割合は、Sで11%(8/73)、PNで60%(33/57)、Paで100%(14/14)であった。また、基底膜上で陽性細胞が連続して観察できた病巣の割合は、Sで6%(4/73)、PNで25%(14/57)、Paで50%(7/14)であった。これらはいずれも有意の増加を示していた。 以上の結果より、S→PN→Paという発癌の初期の過程で、非基底部分のS期細胞や、基膜評上で連続するS期細胞の出現することが特長的な所見と考えられ、このような観察が癌化の危険を早期に知る手懸かりになると思われた。
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