1993 Fiscal Year Annual Research Report
蛋白及び血球成分の血漿分離膜付着に関する基礎的研究
Project/Area Number |
03670761
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Research Institution | TOKAI UNIV.SCHOOL OF MEDICINE |
Principal Investigator |
佐藤 威 東海大学, 医学部, 教授 (20055792)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北村 真 東海大学, 医学部, 助手 (00214817)
平賀 聖悟 東海大学, 医学部, 助教授 (10114779)
飛田 美穂 東海大学, 医学部, 助教授 (20147169)
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Keywords | 血漿分離膜 / 膜吸着 / 電子顕微鏡 / SDS-PAGE法 / 親水系膜 / 疎水系膜 |
Research Abstract |
本年度は、抗凝固剤として新たに低分子ヘパリン(分子量5000)を使用した場合の血漿分離膜に対する蛋白及び血球成分の付着状況を従来のヘパリンや、メシル酸ナファモスタットと比較することと、付着した蛋白及び血球成分を定量的に解析することを研究目標とした。 昨年度までに、SDS電気泳動の際に用いるポリアクリルアミドゲルの密度勾配は5〜20%で十分であったこと、そして、抗凝固剤として用いたヘパリンとメシル酸ナファモスタットの間には、血漿分離膜への蛋白および血球成分の付着状況には大きな差が認められなかったことは、すでに報告したとうりである。 今年度検討を加えた、低分子ヘパリンを使用した場合でもその傾向は同様で、やはり、親水系膜(Polyvinyl alcohol:PVA)に比して疎水系膜(Polysulfon:PS)の方に蛋白及び血球成分の付着が多く認められた。 これらのことから、以下の結論を得た。 1、電子顕微鏡による観察では、PS膜に比してPVA膜で付着物が少なく、蛋白及び血球成分がわずかに付着しているのみであり、膜の内壁構築がよく観察された。一方、PS膜では、蛋白及び血球成分の付着が著明で膜の内壁構築はほとんど観察できなかった。 2、SDS-PAGE法による膜吸着蛋白及び血球成分の解析では、臨床使用したPVA膜に吸着したアルブミン量を1としたときPVA膜へのIgG吸着量は0.6〜0.8、フィブリンは0.1〜0.2、赤血球は0.5〜0.7であり、吸着された蛋白の総量は2.0〜2.5であった。また、PS膜ではアルブミンは1.2〜1.5、IgGは0.8〜1.1、フィブリンは0.4〜0.5、赤血球が0.9〜1.1であり、吸着された蛋白の総量は4.0〜4.5であった。これらの結果より、PVA膜は抗凝固性に優れていると推測された。以上の結果は、日本透析療法学会雑誌第26巻8号1369〜1373頁に掲載された。
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Research Products
(1 results)