1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03670764
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
小松 洋輔 関西医科大学, 医学部(秘尿器科学), 教授 (90026873)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中 裕次 関西医科大学, 医学部(泌尿器科学), 助手 (30164114)
森井 外吉 関西医科大学, 医学部(病理学), 教授 (10077563)
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Keywords | Prostate cavcinoma / neuro endocvine cells / Chromogranin A / laminin. |
Research Abstract |
これまでヒト正常前立腺が腺上皮/基底細胞の2層からなり各々特有のケラチンサブタイプを発現すること。一方、前立腺癌細胞の多くは腺上皮特異的なケラチン形質(K.8.18)を有するが基底膜細胞特異的なケラチンの発現のないことを免疫組織学的に検討し報告してきた。 さらに前立腺には腺上皮、基底細胞以外に神経内分泌細胞が存在することが知られており、正常/肥大前立腺および前立腺癌における神経内分泌細胞の動態を神経内分泌細胞を標識するクロモグラニンA(Hybritech、以下Ch-A)を用いて免疫組織学的に検討した。正常/肥大前立腺のCh-A陽性細胞は基底膜に接したフラスコ状の胞体を有し、尿道上皮に多く認められるが、導管や腺房にも散在する。前立腺癌の大半はCh-A陽性細胞を欠くが高分化な癌巣では散在性に認められるものもあった。これらのCh-A陽性細胞は非癌神経内分泌細胞の残存とも考えられたが、一部症例では胞巣状のCh-A陽性細胞の腫陽性増生が認められた。尚、これらCh-A陽性細胞に腺上皮/基底細胞特異的なケラチンの発現は認められなかった。 また、前立腺癌においても浸潤癌への進展には基底膜は重要な指標とされている。この基底膜の構成成分のうちラミニンに注目し正常/肥大前立腺および前立腺癌における発現を検討した。正常/肥大前立腺の腺管基底細胞の外周に実質を取り囲む形でラミニン陽性像を認めた。一方、前立腺癌では高分化なものではラミニン陽性像残存を明瞭に認めるが、低分化なものにはラミニン陽性像に強い断裂ないしは消失をみた。我々は、前立腺癌において分化度に関わらず基底細胞形質の消失することを報告したが、高分化な癌でラミニン陽性像をみることはラミニン生成と上記基底細胞の形質発現とは直接関係にないように考えられる。 なお、これらの検討対象には昨年に引続きメタカルン固定前立腺癌組織の収集を行い、新に前立腺癌15例と正常/肥大前立腺10例とを加えている。
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