1991 Fiscal Year Annual Research Report
標識レクチンを用いたヒト膀胱腫瘍の再発予知法の開発とその臨床応用
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03670765
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Research Institution | Okinaka Memorial Institute for Medical Research |
Principal Investigator |
横山 正夫 財団法人冲中記念成人病研究所, 主任研究員 (80010304)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小田 裕之 財団法人冲中記念成人病研究所, 研究員
北原 研 財団法人冲中記念成人病研究所, 研究員
金村 三樹郎 財団法人冲中記念成人病研究所, 研究員 (00201434)
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Keywords | 膀胱腫瘍 / 非腫瘍部粘膜生検 / 免疫電顕法 / 初期病変 / 形質膜変異 / レクチン法 |
Research Abstract |
ヒト表在性膀胱癌は多中心性に発生し、再発しやすく、生涯にわたるfollow upを必要とする。再発予知の目的で非腫瘍部粘膜の多部位生検が行なわれているが、未だ臨床的意義は確定していない。研究代表者は膀胱移行上皮の被蓋細胞の腔面形質膜が斑と稜からなり斑にはconcanavalin A(Con A)結合部位が少ないこと(1)、ラットのBBN発癌過程で形態変化に先行し斑上にCon A結合部位の増加が認められ、ついで斑が失われ微絨毛が出現することを見出し、ヒト膀胱癌の非癌部粘膜にもこうした変異が認められることを報告してきた(2、3、4)。 こうした電顕的形態変化およびCon A結合部位の増加の意義を明らかにすべく本研究を行なった。1983年より1991年末までの膀胱癌治療例のうち経尿道的腫瘍切除(TUR・Bt)は484件で、多部位粘膜生検を318件に施行し、うち114件を免疫電顕用に供した。生検はcold cupで行ない、一部を病理へ、一部をフェリチン標識Con Aと反応させたのち電顕試料とした。多部位生検の病理所見による病変出現率は浸潤癌で30%、表在癌で13%であり、表在癌では再発群、腫瘍多発群、低分化群で高かったが、病変の有無による再発率には差がなかった(5)。免疫電顕所見との対比は21例について行なわれた。病理的に癌、上皮内癌、異形成とされた検体では、全て表面に微絨毛が認められ、Con A結合部位は増加していた。病理上正常とされた粘膜の約3分の1に、微絨的あるいはCon A結合の多い斑が認められており、これらはヒト膀胱癌の初期変化であることが示唆された。 最近BCG(Bacillus CalmetteーGuerin)の膀胱内注入が表在癌の再発を阻止するとの報告があり我々もこれを追試した(6)。BCG膀注は副物用が強いので、患者選択に問題が残る。次年度にむけ、免疫電顕と病理所見の対比を精力的に行なっており、前者の所見にもとずいた再発率の検討を計画している。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Nishiyama,F.;Yokoyama,M;Hirano,H.: "Regional differences in lectin binding pattern on the plasma membrane of dissociated rat bladder epithelial cells as revealed by the ferritin-labeling method" Acta Histochem Cytochem. 25. (1992)
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[Publications] Yokoyama,M.;Nishiyama,F;Hirano,H.: "Surface morphology and lectin-binding site of normal and neoplastic urothelium in rat and human urinary bladder" Proceeding of Kagoshima International Symposium of Glycoconjugates in Medicine Professional Postgraduate Services. 264-269 (1988)
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[Publications] 横山 正夫: "細胞の腫瘍化に伴う形質膜の変異" 電子顕微鏡. 26. (1992)
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[Publications] 西山 文朗,横山 正夫,平野 寛: "膀胱腫瘍:細胞表面糖鎖を走査電顕下でみる" Nebio. 8. 141-143 (1991)
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[Publications] 藤戸 収作,金村 三樹郎,横山 正夫ほか: "膀胱癌症例における非腫瘍部粘膜多部位生検の臨床的意義" 共済医報. 41. (1992)
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[Publications] 金村 三樹郎,小田 裕之,横山 正夫ほか: "表在性膀胱腫瘍に対するBCG膀胱内注入療法の経験" 第56回日本泌尿器科学会東部総会口演1991.9.27ー28東京.