1991 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍内浸潤リンパ球に対するCD3抗体刺激および凍結保存の影響とその臨床応用
Project/Area Number |
03670774
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
田中 憲一 新潟大学, 医学部, 教授 (10126427)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 陽一 新潟大学, 医学部, 助手 (40231774)
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Keywords | 腫瘍内浸潤リンパ球 / 抗CD3抗体 / 抗癌免疫療法 / 化学療法 |
Research Abstract |
固層化CD3抗体刺激によるTILの影響 培養初期に抗CD3抗体5mcg/ml にて1週間刺激を行ない、増殖能、細胞表面マ-カ-、抗腫瘍活性について検討を行なった。CD3抗体刺激を行なったTILは培養4週間で10^3〜10^4の増殖を示し、刺激無しの症例と比較すると10〜50倍の増加した増殖能を示した。細胞表面マ-カ-の検索を行なったところ、無刺激群ではCD4、CD8抗原陽性細胞が混在するのに反し、CD3刺激群では培養2週間で大多数の症例がCD8抗原陽性のリンパ球で占められた。一方インビトロの抗腫瘍活性においては、刺激群にやや亢進した細胞障害が観察された。凍結、融解を行なったTILの解析 増殖したリンパ球を凍結保存し、化学療法の副作用より回復後TILの投与を行なうプロトコ-ルを実施するための基礎的検討を行なった。培養リンパ球に7%DMSOを加え、プログラミングフリザ-にて凍結、液体窒素中に保存した。融解前後のTILで増殖能、細胞表面マ-カ-、細胞障害性について検討を行なったところ、すべてにおいて著明な差は認めなかった。唯一の欠点とすれば、回収率が66%という凍結時の細胞の損失であるが、培養初期の固層化CD3抗体刺激によりこの損失は補充可能であると思われる。まとめ 現状において、TIL単独で再発癌、進行期癌を根治させる事は困難と思われ、照射、化学療法との併用によるアジュバント的な治療法として用いられるべきと思われる。両者の適切な投与スケジュ-ルとしては、すべての化学療法が終了した時点で凍結保存したTIL投与を行なう方法が望ましいと思われる。基礎実験の結果より、凍結保存後もTILは十分に増殖を示し、細胞障害性においても変化を示さず、臨床応用可能と思われる。今後は症例の集積により長期予後の詳細な観察を行ない、より効果的な投与法の検討を行なっていく予定である。
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[Publications] 青木 陽一: "腫瘍内浸潤リンパ球に対する凍結保存の影響" 医学のあゆみ. 158. 377-378 (1991)
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[Publications] 五十嵐 裕一: "癌と免疫" 日本産科婦人科学会雑誌. 43. N215-N218 (1991)
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[Publications] 藤田 和之: "子宮頚癌の免疫化学療法" 日本医事新報. 3514. 7-13 (1991)
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[Publications] 田中 憲一: "腫瘍内浸潤リンパ球を用いた養子免疫療法" 産婦の進歩. 44. 41-44 (1991)
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[Publications] YOICHI AOKI: "USE OF ADOPTIVE TRANSFER OF TUMOR INFILTARATING LYMPHOーCYTES ALONE OR IN COMBINATION WITH CISPLATINーCOMTAINING CHEMOTHERAPY IN PATIENTS WITH EPITHELIAL OVARIAN CANCER" CANCER RESEARCH. 51. 1934-1939 (1991)