1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03670803
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
福田 諭 北海道大学, 医学部附属病院, 講師 (20125347)
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Keywords | 内耳 / ウイルス潜伏感染 / HSVー1 / 顔面神経膝神経節 / ラセン神経節 / 前庭神経節 / in situ hybrization / PCR法 |
Research Abstract |
I)マウス 動物自体が小さい為分子生物学的検索に十分量の試料を採取するのが予想していたより難しく、比較的試料の採取しやすい顔面神経膝神経節におけるHSVー1潜伏感染を分子生物学的に検索した。角膜摂取群5匹中1匹、舌接種群5匹中2匹でHSVー1DNAが検出された。 II)ヒト 当初予定していたより了解の上、摘出できた側頭骨数は多く、動物よりヒトでの検索を主体とした。 1)顔面神経膝神経節 in situ hybridization(ISH)法により15耳中11耳(71%)の膝神経節において主に神経細胞の核に陽性所見がみられ、神経細胞以外の細胞では、陽性所見が認められなかった。HSVー1陽性神経細胞は1切片あたり2.4〜13%にみられ、検索した膝神経細胞704個中37個(5.3%)の細胞にHSVー1が検出された。またpolymerase chain reation(PCR)法でも17耳中15耳にHSVー1DNAが検出された。これらよりHSVー1はヒト顔面神経膝神経節に高い頻度で潜伏感染していることが証明された。 2)ラセン神経節 PCR法では10耳全例にHSVー1DNAが検出された。しかしlatency associated transcript(LAT)の発現は認められなかった。 3)前庭神経節 PCR法では10耳中6耳にHSVー1DNAが検出されたがISH法では検出できなかった。 2)と3)の結果はそれぞれの部位においてPCR法でHSVー1DNAは高率に検出でき潜伏感染の可能性を充分示唆させた。しかしISH法では検出できなった理由としてi)LATの発現が低レベルで今回のISHの感度では検出できなかった。ii)潜伏感染している神経細胞数が非常に少なく、検索数が足りなかった、などが考えられる。 いずれにしても内耳各神経節にHSVー1DNAが潜伏している可能性を分子生物学的に実証できた。
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[Publications] 古田 康,福田 諭他: "ヒト顔面神経膝神経節におけるヘルペスウイルス潜伏感染の検索Iーin situ hybridization法を用いたHSV type 1核酸の検出ー" Otology Japan. 1. 100 (1991)
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[Publications] 高須 毅,福田 諭他: "ヒト顔面神経膝神経節におけるヘルペスウイルス潜伏感染の検索IIーPCR法を用いたHSV type 1 DNAの検出ー" Otology Japan. 1. 101 (1991)
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[Publications] 高須 毅、福田 諭他: "マウス顔面神経における単純ヘルペスウイルス潜伏感染モデルの解析ーPCR法を用いたHSV type 1 DNAの検出ー" 日耳鼻. 94. 1606 (1991)
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[Publications] 古田 康,福田 諭他: "ヒト顔面神経膝節におけるヘルペスウイルス潜伏感染の検策IIIーISH法を用いたHSV type 1 mRNAの検出ー" 日耳鼻. 94. 1607 (1991)
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[Publications] 高須 毅,福田 諭他: "ヒトラセン神経節における単純ヘルペスウイルス潜伏感染の検索" Otology Japan. 2. 126 (1992)
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[Publications] 古田 康,福田 諭他: "ヒト顔面神経膝神経節におけるヘルペスウイルス潜伏感染の検索IVーPCR法を用いたVZV DNAの検出ー" Otology Japan. 2. 127 (1992)
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[Publications] Y.Furuta,S.Fukuda et al: "Latent herpes simplex virus type 1 in human geniculate ganglia" Acta Neuropath(Berl).
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[Publications] Y.Furuta,S.Fukuda et al: "Latent herpes simplex virus typel in human vestibular ganglia" Acta Otolaryngol(Stockh).
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[Publications] T.Takasu,S.Fukuda et al: "Defection of latent herpes simplex virus DNA and RAN in human geniculate ganglia by the polymerase chain reaion" Acta Otolaryngol(Stockh).