1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03670805
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
稲村 直樹 東北大学, 医学部附属病院, 助手 (20158760)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
朴沢 孝治 東北大学, 医学部附属病院, 助手 (20199459)
大山 健二 東北大学, 医学部附属病院, 講師 (10152266)
橋本 省 東北大学, 医学部附属病院, 講師 (20156285)
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Keywords | 血液ー内耳Barrier / イオントレ-サ- / イオン選択性電極 / Barrierの破錠 / エピネフリン / 化学伝達物質 |
Research Abstract |
内耳には、血液との間に非常にtightなBarrier systemが存在しており、これにより内外リンパ液組成の恒常性を保ち、有害物質の内耳への流入を防いでいる。本年度の研究では、(1)このBarrierがどのような状態で破錠するのか。また、(2)Barrierが破錠した状態での、蝸牛の電気生理学的現象の解明について検討を加えた。 (実験結果) 1.正常な内耳ー血液Barrierについて:イオン電極感知可能なトレ-サ-を静脈内に潅流し、CSF腔、蝸牛前庭階、鼓室階、中央階に挿入されたイオン電極にてトレ-サ-の動きを観察すると、各々の腔において全く異なったトレ-サ-の動態が観察され、しかもそれらは血中のトレ-サ-濃度の時間的推移と全く異なっていた。 2.Barrierの破錠について:血圧の急性上昇をもたらすことにより血液ー脳関門を開くと報告されているエピネフリンを静脈内に投与した結果、各腔でのトレ-サ-濃度は投与直後より急激な増大をきたした。次に炎症の際のメディエ-タ-であるヒスタミン及びプロスタグランディンE_2(PGE_2)を静脈内に投与すると、エピネフリンほどではないが各腔におけるトレ-サ-濃度の増大が認められた。 3.Barrier破錠時の内耳電気生理現象:2.で示された2つのBarrierを破錠させる状態において、蝸牛内電気現象(AP、CM)を測定した結果、各々の薬剤の投与直後に一過性にAP、CMの反応は低下するが、5〜10分後にはほぼ正常な反応に回復している。 (考按) 血液と蝸牛内各腔及びCS下腔には各々Barrierが存在し、しかも様々な薬剤処置によりその性質を変化させることができることがわかった。破錠時の生理学的現象については、更に検討する必要がある。
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Research Products
(1 results)