1993 Fiscal Year Annual Research Report
頭頚部悪性腫瘍におけるsilent otitis mediaと耳管機能について
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03670823
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Research Institution | The Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
山口 展正 東京慈恵会医科大学, 医学部・耳鼻咽喉科, 講師 (60130209)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 省三 東京慈恵会医科大学, 医学部・耳鼻咽喉科, 講師 (80147298)
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Keywords | 頭頚部悪性腫瘍 / silent otitis media / 客観的耳管機能検査 / インピーダンス法 / 音響法 / 耳管開放症 |
Research Abstract |
本研究を実施中頭頚部悪性腫瘍症例にsilent otitis mediaの存在することのみでなく従来稀といわれていた耳管開放症が存在していることが臨床的に判明した。そこでいわゆる耳管開放症の診断法、成因につき頭頚部腫瘍患者以外の症例の臨床的検討を行った。ビデオモニターによる内視鏡下鼓膜の動的所見および耳管咽頭口の観察、インピーダンス法、音響法などの多面的耳管機能検査により潜在的耳管開放症およびいわゆる耳管開放症43症例を検出した。Toynbee法時の鼓膜のダイナミックな動きと耳管咽頭口周囲の萎縮性病変が比較的容易な診断の指標となり得た。体重減少、滲出性中耳炎、乳突蜂巣炎、耳管筋のマイオクローヌス、妊娠などが耳管開放症に関与しており特に高年齢の男性症例において体重減少が高率であったことから耳管の退行変性に急激な体重減少が加わることが耳管開放症の一つの成因となると示唆された。 これらの診断法により気管切開症例でも耳管開放症の診断ができ気管切開を行った下咽頭腫瘍の一症例で耳管開放症が検出された。この症例では腫瘍の進展により食事摂取困難となり体重減少が生じたことが一つの要因になったと考えられた。また頚部廓清術直後に滲出性中耳炎の生じた症例で鼓膜所見が改善した時に耳管開放型を示したことは興味ある所見であり、リンパの循環不全のために一過性に滲出性中耳炎が生じたsilent otitis mediaの一症例と考えられた。臨床的に頭頚部腫瘍患者16症例のうち6症例に滲出性中耳炎が存在しそのうち自覚症状に乏しいsilent otititis mediaは4症例認められ耳管狭窄のみでなく耳管開放型でもsilent otitis mediaが生じることが判った。頭頚部腫瘍の耳管開放症症例は放射線療法による影響もあるが体重減少も一つの成因になると考えられた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Nobumasa Yamaguchi et al: "The Eustachian tube function and prognosis of OME after removal of the ventilatory tube." Proceedings of Fifth International Symposium on Recent Advances in Otitis Media.Decker Pecicals. 95-97 (1993)
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[Publications] Nobumasa Yamaguchi et al: "Patulous Eustachian tube:Endoscopic of the tympanic membrane and the pharyngeal orifice of the Eustachian tube and the impedance method," Proceedings of International Symposium on Recent Advances in Otitis Media.Kugler. (in press).