1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03670834
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
上原 文行 鹿児島大学, 医学部・附属病院, 講師 (30168653)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鵜木 一彦 鹿児島大学, 医学部・附属病院, 助手 (60193926)
鮫島 宗文 鹿児島大学, 医学部, 助手 (80041333)
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Keywords | 網膜光受容体間基質 / 光応答 / シアル酸 / α2-6シアリルトランスフェラーゼ / mRNA / 電気抵抗 |
Research Abstract |
1.N-グリコシド結合型糖鎖末端にシアル酸を付加する酵素であるβガラクトシドα2-6シアリルトランスフェラーゼのcDNAを分離し、遺伝子工学の手法を用いプラスミッドDNAに組み込み、RNAポリメラーゼを用いてそのmRNAに相補的なRNAプローブを合成した。これを用い、ラット網膜のα2-6シアリルトランスフェラーゼのmRNAの発現状態についてin situ hybridization組織化学的に検索した。網膜光受容体間基質光応答が初めて観察される生後16日目に一致して、そのmRNAの発現が増加している像が検出された。過去のレクチン組織化学的研究結果と合わせて考察すると、N-グリコシド結合型糖鎖末端のシアル酸が、光受容体間基質の光応答の発現に重要な役割を果たしている可能性が高くなった。一方、暗順応に比べ明順応網膜視細胞でそのmRNAの発現が増加している像が同定されたことから、2相性光応答の後半部分、すなわち明順応網膜の内節周囲の光受容体間基質成分の分布が光で増加するのは、光に応答して新しくその合成が増加したためであることが判明した。 2.ウシ光受容体間基質をシアル酸を含む分画と含まない分画とにわけ、それぞれの電気抵抗値を測定比較したところ、前者の方が低いことが判明した。一方、サル網膜視細胞側より電極を用いて、錐体が多く存在する黄斑部と、杆体が多く存在する周辺部の光受容体間基質の電気抵抗を明順応下に測定、比較したところ、後者の方が低値を示した。すなわち、光受容体間基質の電気抵抗は、シアル酸を含有する杆体視細胞周囲の方が、シアル酸をほとんど含有しない錐体周囲よりも低いことが間接的に証明された。これらの実験結果から、杆体視細胞周囲の光受容体間基質の電気抵抗は低く、杆体外節の過分極の変化は、光受容体間基質を介して隣接杆体外節へ伝達される可能性が示唆された。
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[Publications] 上原 文行: "Developmntal change of distribution of B-galactoside α2.6-siulytransferase mRNA in rat retina" Experimental Eye Research. 56. 89-93 (1993)
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[Publications] 中嶋 康幸: "Interphotore ceptor matrix in the colored-light-adapted rat" Ophthalmic Research. 24. 308-315 (1992)
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[Publications] 上原 文行: "遺伝性視細胞変性網膜光受容体間基質分布の光応答" 日本眼科学会雑誌. 96. 473-478 (1992)
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[Publications] 上原 文行: "持続光起因性変性網膜の光受容体間基質 II.光応答の組織化学的検索" あたらしい眼科. 9. 1553-1555 (1992)
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[Publications] 上原 文行: "遺伝性視細胞変性網膜のムチン型複合糖質" あたらしい眼科. 9. 1619-1622 (1992)
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[Publications] 上原 文行: "Interphotoreceptor matrix と網膜変性 とくにその光応答との関係について" 医学のあゆみ. 163. 142- (1992)
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[Publications] 上原 文行: "Distribution of peripherin/rds mRNA in conedominant squirrel retina" Experimental Eye Research. (1993)
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[Publications] 柳田 豊子: "Demonstration of pertpherin/rds mRNA in nomal and light-damaged rat retinas by in in situ hybridization histochemistry" Japanese Journal of Ophthalmogy. (1993)
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[Publications] 上原 文行: "Fixative suttable for in situ hybridization histochemistry" The Journal of Histochemistry and CytochemisTry. (1993)
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[Publications] 上原 文行: "Current Aspects in Ophthalmology (Roles of sialoglycoconjugete in the rod-associuted interphoto receptor matrix)" Elserien Science Publishers, 4(907-910) (1992)