1991 Fiscal Year Annual Research Report
視神経の再生と網膜視神経細胞の機能回復に関する基礎的研究
Project/Area Number |
03670841
|
Research Institution | Institute for Developmental Research, Aichi Human Service Center |
Principal Investigator |
渡部 眞三 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 生理学部, 主任研究員 (10093486)
|
Keywords | 視神経再生 / 末梢神経移植 / 網膜アルファ細胞 / 網膜ベ-タ細胞 / ON型細胞 / OFF型細胞 / ネコ網膜 |
Research Abstract |
本年2月末までに末梢神経の移植手術を行ない、60日以上生存した51匹の成熟ネコのうち、32匹で移植神経が生着していた。軸索を再生した視神経細胞以下、再生視神経細胞の数は、過酸化酵素(HRP)逆行性標識法では約500から1000個だったが、蛍光色素標識法では約4000個で、全視神経細胞の3%以上が軸索を再生していることがわかった。 再生視神経細胞の樹状突起の形態をHRP細胞内注入法で調べた。多くの細胞は正常な網膜のアルファ(α)、ベ-タ(β)、ガンマ(γ)細胞と変わりない形態をしていたが、これらのいずれにも属さない細胞も見られ、これらを「未分類」細胞とした。未分類細胞のなかには、樹状突起野の一部が欠落しているもの、樹状突起末端に細かい突起が多数見られるものがあり、軸索再生の過程で樹状突起が変性、再生した可能性を示した。また樹状突起受容野の直径を中心野からの距離に対してプロットした図で、未分類細胞の大多数はα細胞のグル-プのなかに含まれていた。このことは未分類細胞が樹状突起の変化したα細胞である可能性を示している。 どのタイプの視神経細胞も一様に軸索を再生しているかどうかを知ることは、再生後の機能回復を図る上で重要である。ある限られた領域のすべての標識細胞に、蛍光色素(ルシファ-イエロ-)を注入して、再生視神経細胞集団の中のα細胞とβ細胞の割合を求めた。3例でいずれもβ細胞の割合がもっとも高く、次いでα細胞とβ細胞のいずれにも属さないもの(γ細胞と未分類細胞、以下NAB)であった。これらの割合を、正常な網膜における割合と比較すると、大型の細胞ほど再生能が高いことがわかった。視神経細胞の樹状突起は、それが光に対して促通的(ON)か抑制的(OFF)かによって内網状層での分枝が異なる。そしてON細胞とOFF細胞の割合は正常では1:1と考えられている。再生視神経細胞のONとOFFの割合は、α細胞の95%がOFF、β細胞のすべてがON、NABの75%がONであった。ルシファ-イエロ-細胞内注入法でも同様な傾向であることが確かめられた。 以上の結果から、細胞体の大きさ、生理的機能で視神経細胞の再生能力が異なることがわかった。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] Fukuda Y,Watanabe M,and Sawai H: "Axonal regeneration of cat retinal ganglion cells after peripheral nerve transplant" lnvestigative Ophthalmology & Visual Science(ARVO Abstract). 32. 1133 (1991)
-
[Publications] Watanabe M,Sawai H,and Fukuda Y: "Dendritic morphology and Stratification of ganglion cells that regenerated axons in the cat retina" The 3rd IBRO Abstract. 3. 33 (1991)
-
[Publications] Watanabe M,Sawai H,and Fukuda Y: "Axonal regeneration of retinal ganglion cells in the cat geniculocortical pathway" Brain Research. 560. 330-333 (1991)
-
[Publications] Watanabe M,Sawai H,and Fukuda Y: "Morphology of retinal ganglion cells that regenerated axons along peripheral nerve graft in cats" Neuroscience Research. 15. S157-S164 (1991)