1992 Fiscal Year Annual Research Report
歯の形成異常および歯原性腫瘍発生過程の上皮ー間葉相互作用に及ぼすビタミンAの影響
Project/Area Number |
03670842
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
向後 隆男 北海道大学, 歯学部, 助教授 (80001949)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
進藤 正信 北海道大学, 歯学部, 助手 (20162802)
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Keywords | 歯の形成異常 / 歯原性腫瘍 / 上皮ー間葉相互作用 / N-ニトロソメチルウレア / ビタミンA |
Research Abstract |
N-ニトロソメチルウレア(NMU)投与により生じるハムスターの切歯歯胚の障害に基ずく歯牙形成障害および歯原性腫瘍を用いてその発症過程と組織変化に及ぼすビタミンA(レチノールパルミテート(RP)あるいはβ-カロテン(エタノールに溶解))の影響について経時的に検索している。 ビタミンA投与6時間後に0.2%NMU水溶液を投与し、処置を週2回、4カ月間行った。β-カロテンとRPの影響を比較検討した。 (1)NMUとRPを投与した群では、歯牙形成障害の程度はNMU単独投与によるものと同様であったが、歯根膜内に遊走している歯原性上皮巣は角化傾向が減少しており、象牙芽細胞を誘導して象牙質形成を伴っている上皮巣が比較的多くみられた。そして、歯原性腫瘍の発生の増加傾向がみられた。その他の変化としてNMU単独投与でみられる前胃と歯肉の腫瘍性増殖は激減した。 (2)NMUとβ-カロテンを投与した群では、切歯歯胚上皮由来の歯原性腫瘍の発生はみられなかったが、Hertwigの上皮鞘部に樹枝状増殖が生じており、歯根膜内に不規則に増殖、遊走する歯原性上皮細胞巣がみらた。NMU単独投与したものに比し、角化傾向は著明ではなく、これら上皮巣には歯原性上皮と間葉組織との相互作用がみられたが象牙芽細胞の誘導はNMUとRP投与群ほど顕著ではなかった。 切歯形成障害はRP群よりやや軽度で、歯胚部上皮のBulbous partおよび“U"-shaped partは萎縮してたが、上皮ー間葉相互作用は保たれており、象牙芽細胞の誘導と不規則な象牙質形成が認められたがエナメル芽細胞への分化はみられなかった。その他の変化では歯肉上皮の角化傾向および腫瘍性浸潤増殖の減少ならびに前胃の腫瘍性変化の減少傾向があったが、幽門部粘膜下の紡錘形細胞の増生および過形成を伴う胆管線維症は著明であった。
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