1993 Fiscal Year Annual Research Report
歯の形成異常および歯原性腫瘍発生過程の上皮-間葉相互作用に及ぼすビタミンAの影響
Project/Area Number |
03670842
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
向後 隆男 北海道大学, 歯学部, 助教授 (80001949)
|
Keywords | β-カロテン / N-ニトロソメチルウレア / 歯原性腫瘍 / 歯肉腫瘍 / 歯の形成異常 / ハムスター |
Research Abstract |
1.天然あるいは合成β-カロテン+NMU投与群およびカロテンの溶媒エタノール+NMU投与群では、切歯歯胚上皮由来の歯原性腫瘍の発生はみられなかったが、Hertwigの上皮鞘部に樹枝状増殖が生じており、歯根膜内に不規則に増殖、遊走する歯原性上皮細胞巣がみられた。β-カロテン+NMU群ではNMU単独投与群に比し、角化傾向は著明ではなく、これら上皮巣には歯原性上皮と間葉組織との相互作用がみられた。 2.切歯形成障害について、NMU投与による歯胚部上皮のBulbous partおよび"U"-shaped partの萎縮はβ-カロテン+NMU投与でもみられたが、残存した上皮巣には上皮-間葉相互作用は保たれていた。象牙芽細胞の誘導と不規則な象牙質形成が認められたがエナメル芽細胞への分化はみられないものが多かった。切歯形成異常は天然β-カロテン+NMU群に高度ものが多かったが、天然および合成β-カロテン群ともに投与量が増加した群では、減少傾向が見られた。しかし、エタノール+NMU群においても同様の傾向が見られ、エタノールの影響も示唆された。 3.歯肉上皮の腫瘍性浸潤増殖は、天然および合成β-カロテン+NMU群ともにNMU単独投与したものよりも少なく、その広がりも軽度であった。また歯肉上皮の角化傾向も軽度であった。 4.前胃の腫瘍性変化は天然および合成β-カロテン+NMU群ともにみられたが、その浸潤程度はNMU単独およびエタノール+NMU群に比し軽度で高分化型であった。後胃(幽門部粘膜下)の紡錘形細胞の増生の程度は、天然β-カロテン+NMU群においてはやや高度な傾向を示し、NMU群、エタノール+NMU群に比し著明であった。 5.肝臓の腺線維症様病変の小葉間胆管の過形成および増生は天然および合成β-カロテン群ともに多く、その程度も著明な傾向があり、NMU群およびエタノール+NMU群に比し分化度に多少の差異が認められた。
|