1992 Fiscal Year Annual Research Report
哺乳類頭部神経堤細胞の移動・分化に関与する遺伝子発現の解析
Project/Area Number |
03670844
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
山下 典子 東京医科歯科大学, 歯学部, 助手 (00220343)
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Keywords | 頭部神経堤細胞 / グルココルチコイドレセプター遺伝子 / 遺伝子発現 / in situ hybridization / 全胚培養法 / 哺乳類胚 / rSeyミュータント / Pax-6遺伝子 |
Research Abstract |
本年度は哺乳類頭部神経堤細胞の移動・分化に関与する遺伝子発現の解析に関して、以下のような研究を行った。 1.マウス発生過程におけるグルココルチコイドレセプター(GR)遺伝子の発現 ステロイドホルモンの一種であるグルココルチコイドは、口蓋裂を高頻度に誘発する。このレセプター遺伝子の発現をマウス正常発生過程で検索した。Nothern hybridizationを行った結果、胎齢10、11日では発現量はそれほど高くなく、胎齢12日から13日にかけて急激に発現量が高くなり、以降17日まで高い発現を維持していた。in situhybridizationによりGR遺伝子の発現を組織学的に検索すると、側脳室周囲や脈絡叢、下垂体前葉、網膜、舌、胸腺、甲状腺、肺、肝臓、歯胚などで高い発現が見られた。口蓋での発現は周囲組織と比較してそれほど高くなかった(研究発表参照)。グルココルチコイドにより口蓋裂を誘発した場合のGR遺伝子の発現については、現在検討中である。 2.ミュータントラットrSeyにおける頭部神経堤細胞の移動経路の解析 rSeyはSpragueーDawleyラットのコロニーより自然発生的に得られたミュータントであり、常染色体性優性遺伝により、ヘテロでは小眼症を呈し、ホモでは眼と鼻が形成されない。今年度、このミュータントラットにおいてPax-6遺伝子(Drosophillaの形態形成に関わる遺伝子paridのホモログ)に突然変異があることをつきとめた。さらに、前年度確立した頭部神経堤細胞の移動経路を追跡する系を用いることにより、ホモ胚では中脳前方部に由来する神経堤細胞の移動に異常があることを明かにした(研究発表参照)。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] OsumiーYamashita,N.et al.: "Retinoic acid treatment induces the ectopic expression of retinoic acid receptor beta gene and excessive cell death in the embryonic mouse face." Develop.Growth & Differ.34. 199-209 (1992)
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[Publications] OsumiーYamashita,N.,Asada,S.&Eto,K.: "Distribution of Fーactin during mouse facial morphogenesis and its perturbation with cytochalasin D using whole embryo culture." J.Craniofac Genet.Develop.Biol.12. 130-140 (1992)
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[Publications] 大隅ー山下 典子、二宮 洋一郎、江藤 一洋: "哺乳類全胚培養法の発生学への応用" 組織培養. 18. 94-99 (1992)
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[Publications] 大隅ー山下 典子、二宮 洋一郎、江藤 一洋: "器官形成期哺乳類胚操作技術としての全胚培養法" 実験医学. 10. 54-60 (1992)
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[Publications] OsumiーYamashita,N.et al.: "Abnormal migration of anterior midbrain crest cells in Uchida mutant rat embryos." Congenital Anomalies. 32. 233 (1992)
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[Publications] OsumiーYamashita,N.,Ninomiya,Y.&Eto,K.: "Pathways and developmental fates of mouse cranial neural crest cells." J.Dent.Res. 71. 538 (1992)