1992 Fiscal Year Annual Research Report
口腔粘膜内機械受容器におけるカルシウムおよびカルシウムATPaseの局在と動態
Project/Area Number |
03670850
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
立花 民子 岩手医科大学, 歯学部, 助教授 (10089386)
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Keywords | 機械受容器 / マイスネル小体 / メルケル小体 / Ca^<++> / Ca^<++>-ポンプ / Na^+ / Ca^<++>exchanger / Trifluoperazine / Amiloride |
Research Abstract |
前年度における研究により、マイスネル小体には2種類のCa^<++>-ATPaseの活性が組織化学的に検出され、神経終末では機械刺激により流入したカルシウムイオンがカルシウムポンプによって排泄されることが示唆された。また、同小体の層板ではカルシウムの流入または排泄にCa^<++>/Mg-ATPaseが関与している可能性も示唆された。これに対し、同じく機械受容器に属するメルケル小体では、極めて弱いCa^<++>-ATPase活性がみられるにすぎず、この小体におけるカルシウム排泄機構は明確にされなかった。今年度の研究では、方法を変えてCa^<++>-ATPaseの検出を試みたが、やはりメルケル小体における本酵素の性質を解明するに至らなかった。そこで、予定を変更して、trifluoperazineとAmilorideという2種類のカルシウム輸送阻害剤をもちいて、これらの薬剤のカルシウム排泄への影響を検討することとした。麻酔下に摘出したスナネズミの口蓋を正常または阻害剤を含む緩衝生理食塩水に浸し、粘膜の一部に1分間の機械刺激を加えた後、シュウ酸アンチモン法で固定染色した。対照群および実験群の刺激付加粘膜におけるマイスネル小体とメルケル小体の神経終末におけるアンチモン酸カルシウムの量を比較し、薬剤の影響を検討した。対照群のマイスネル小体とメルケル小体では、刺激終了から1分後の固定時には既に神経終末のカルシウム量は非刺激時のレベル迄減少していたが、trifluoperazine存在下で刺激した群では、マイスネル小体の神経終末のカルシウムレベルが高いままであった。またメルケル小体の神経終末ではAmilorideによってカルシウム排泄が阻害された。TrifluoperazineはCa^<++>-pump阻害剤として知られるので、この結果はマイスネル小体神経終末のカルシウム排泄がカルシウムポンプに支配されることを裏付けると思われる。一方、Amilorideの阻害効果は、メルケル細胞の神終終末ではNa^+/Ca^<++>exchangerが働らいている可能性を示唆すると考えられた。
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[Publications] T.Tachibana,T.Nawa,V.Mizuhira,and Y.Yoshida: "Ultrastructural localization of calcium in mechanoreceptors of the oral mucosa." Journal of Neurocytology. 21. 745-753 (1992)
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[Publications] Tamiko Tachibana and Tokio Nawa: "Ultrastructural localization of Ca-ATPases in Meissner's corpuscle of the Mongolian gerbil." Archives of Histology and Cytology. 55. 375-379 (1992)