1992 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト唾液腺腺癌細胞が産生する骨形成因子と骨誘導に関する研究
Project/Area Number |
03670851
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
畠山 節子 岩手医科大学, 歯学部, 助手 (70048495)
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Keywords | 骨形成因子 / レチノイン酸 / 腺癌株細胞 / 骨形成 / 増殖調節 / オンコジーン / 免疫組織化学 / ノーザンブロット |
Research Abstract |
(1)ヒトのリコンビナントBMP-2(Genetic Institute社製2M12)とBMP-3(3M10)に対するポリクローナル抗体(兎血清)を作製した。 (2)作製した抗体を用いて良性唾液腺腫瘍である多形性腺腫(軟骨成分を含むもの:2例、含まないもの:9例)を免疫組織化学的に検討し、平成3年度の結果に症例を追加した。その結果、BMP-2陽性所見は、主に導管を形成する腫瘍細胞の細胞質にみられ、充実性増殖部の一部の腫瘍細胞もまれに陽性を呈した。軟骨腫様部の細胞は弱陽性あるいは陰性で、軟骨成分の発現と腫瘍細胞によるBMP-2産生との明かな相関は認められなかったが、一部の多形性腺腫の腫瘍細胞はBMP-2を産生している可能性が示唆された。軟骨成分の発現にはBMP-2だけではなく、他の要因の関与が必要と考えられた。正常唾液腺(ヒト)では排出管導管細胞、介在部導管細胞の細胞質が陽性を呈し、粘液性および漿液性いずれの腺房細胞も陰性であった。 (3)レチノイン酸は0.1μM以上の濃度で、6-48時間のincubationで、用量依存性にBMP-2のシグナルを増強させることが判明した。1-5時間の間の変動については再検討が必要であった。レチノイン酸は同時にHSG-S8細胞の細胞周期のG1期からS期への進行を阻害し、増殖を抑制した。この時c-mycの発現も抑制された。 (4)コラーゲンスポンジを用いてHSG-S8細胞と線維芽細胞(C3H10T1/2あるいはST2)とのco-cultureを試みたが、骨形成を誘導させることには未だ成功していない。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Setsuko Hatakeyama et al.: "Expression of bone morphogenetic protein in human adenocarcinoma cell line" Biochem.Biophys.Res.Commun.(1993)
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[Publications] 畠山 節子 他: "レチノイン酸によるヒト顎下腺由来腺癌細胞株(HSG-S8)のBMP遺伝子発現調節" 日本骨代謝学会誌. 10. 125- (1992)
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[Publications] 畠山 節子他: "レチノイン酸による顎下腺由来腺癌細胞株(HSG-S8)の増殖抑制とBMPの発現調節" 歯科基礎医学会雑誌. 34(補). 86- (1992)
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[Publications] 相川 友直他: "ヒト唾液腺癌細胞の培養上清によるラット胎児筋肉細胞の軟骨細胞への誘導" 日本癌学会総会記事 第50回総会. 202- (1992)