1991 Fiscal Year Annual Research Report
骨内インプラント・組織界面における改造現象に関する実験的研究
Project/Area Number |
03670853
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
井上 孝 東京歯科大学, 歯学部, 助教授 (20125008)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下野 正基 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (00085771)
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Keywords | 骨内インプラント / osseointegration / 組織界面 / プラズマ溶射 / 純チタン / ハイドロキシアパタイト / in vivo / in vitro |
Research Abstract |
『インプラント接する組織界面の代謝を研究することは、インプラントの成否を左右する要因を解明できる』という仮説にたって91年度の研究計画を実施した。In vivoにおいては表面形状という観点を中心に各種インプラントの骨組織、上皮組織および結合組織との組織界面を検索した。その結果、骨組織とは純チタン製のものがチタン合金製のものに比べよりよいosseointegrationを獲得し、中でも純チタンをプラズマ溶射したものでは経時的に骨との接触量が増加し、特に海綿骨で顕著であることが明らかとなった。Osseointegarationを獲得した部位の骨のリモデリングに関しても正常の骨とは異なりインプラント界面では不規則な改造線を作り、リモデリングがゆっくり起こっていることが示唆された。一方スクリュ-型のインプラントでは初期固定には問題がないものの、咬合力に対する応力などの問題で、osseointegarationが序々に失われていく傾向にあることが示唆された。また、ハイドロキシアパタイトをプラズマ溶射したものでは、その骨結合状態は金属とは異なり、化学的であることが電子顕微鏡的に証明されたが、その詳細は検討中である。上皮との界面は、いかなるインプラントでも多少なりとも炎症性変化を伴い、いわゆるポケット上皮様になっていることが示唆された。実験的には表面多孔形態で大きさが約1.2〜3.0μmの孔が上皮細胞の動きに影響を与える臨界点となり、この大きさより小さい孔の場合には上皮がインプラント表面に沿って深く侵入してしまうことが判明した。 In vitroでも表面形状が重要な因子となり、細胞の移動、接着、集合にin vivoと同様の影響を与えていることが明らかとなった。また、圧電セラミックス、バイモルフによる動的な細胞観察とインプラント界面の検索は、現在動きを細胞に与える実験系が確立され、細胞の反応を観察しているところである。
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[Publications] 井上 孝: "インプラントの表面形態と組織反応について" デンタルアスペクト. 15. 121-132 (1991)
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[Publications] 井上 孝: "ビ-グル犬における骨結合型骨内インプラントのレントゲン的ならびに組織学的検索,特にITIおよびBranemarkインプラントの比較" 歯科学報. 91. 613-626 (1991)
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[Publications] 井上 孝: "歯科臨床に役立つ病理検査と実験病理 インプラント周囲組織の病理組織反応とその再生力" 歯科学報. 91. 629-631 (1991)
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[Publications] 井上 孝: "インプラントと組織界面 特にin vivoおよびin vitroにおける実験的研究" 歯科学報. 91. 1181-1199 (1991)
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[Publications] 井上 孝、著分担: "「口腔インプラント学」上巻" 医歯薬出版, 440 (1991)
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[Publications] 井上 孝、著分担: "「歯根膜靭帯の科学」" グノ-シス出版, (1992)