1992 Fiscal Year Annual Research Report
骨内インプラント・組織界面における改造現象に関する実験的研究
Project/Area Number |
03670853
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
井上 孝 東京歯科大学, 歯学部, 助教授 (20125008)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下野 正基 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (00085771)
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Keywords | インプラント / Dsseointegration / 組織界面 / PCNA / インプラント周囲上皮 / in vivo |
Research Abstract |
本研究は、インプラントと組織界面における改造現象を検索することにより、インプラントの成否を左右する要因を解明する目的で行われたもので、平成3年度には特に骨組織との結合(osseointegration)および上皮界面(epithelial attachment)についてインプラントの表面形状が重要であることを明らかにした。平成4年は、インプラント周囲上皮がいかにして上皮の深部増殖ならびに細菌感染を防いでいるのか細胞レベルで検索した。特に増殖細胞核抗原である。proliferating cell nuclearantigen(以下PCNAと略)を用いてインプラント周囲上皮と対照群として付着上皮の増殖能の検索を行った。検索方法はPCNA陽性細胞の分布状況ならびにPCNA陽性率を算出したPCNAスコアーで評価した。対照群とした付着上皮では、基底細胞および棘細胞にPCNA陽性細胞が分布しており、PCNAスコアーは全体では35.70±14.02であった。一方、インプラント周囲上皮では主として基底細胞に散在性にPCNA陽性細胞が見られ、PCNAスコアーは全体で 12.99±6.04であった。すなわち、付着上皮は半接着斑により物理的にエナメル質に結合しており、炎症性刺激などに対しては上皮細胞が活発に増殖、再生する力を持ち、さらに歯肉溝滲出液による防護が働くことが示唆された。一方、インプラント周囲上皮は、インプラント体と周囲上皮は角化傾向を持つ上皮と結合し、その間にも半接着斑の形成は弱く、細胞増殖能も活発ではなく、炎症性反応に対しては歯肉溝滲出液による防御のみが重要な働きをしていることが示唆された。今後は、インプラント材料と細胞の間に存在する物質を超微形態的に検索することにより、上皮ならず結合組織性の付着などを検討していく予定である。
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[Publications] 井上 孝 他: "インプラントの表面形態と組織反応について" デンタルアスペクト. 15. 121-132 (1991)
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[Publications] 井上 孝 他: "ビーグル犬における骨結合型骨内インプラントのレントゲン的ならびに組織学的検索" 歯科学報. 91. 613-626 (1991)
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[Publications] 井上 孝 他: "インプラント周囲組織の病理組織反応とその再生力" 歯科学報. 91. 629-631 (1991)
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[Publications] 井上 孝: "インプラントと組織界面 特にin vivo およびin vitro における実験的研究" 歯科学報. 91. 1181-1199 (1991)
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[Publications] 井上 孝 他: "自家歯牙移植への病理学からの見解" ザ・クインテッセンス. 12. 3-15 (1993)
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[Publications] 井上 孝、著分担: "「口腔インプラント学」 上巻" 医歯薬出版, 440 (1991)
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[Publications] 井上 孝, 著分担: "歯根膜靭帯の科学" グノーシス出版, 213 (1992)