1992 Fiscal Year Annual Research Report
還流系によるカルシウム系アゴニストの耳下腺アミラーゼ分泌効果の細胞内機序の解析
Project/Area Number |
03670861
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
吉村 啓一 北海道大学, 歯学部, 助教授 (30000938)
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Keywords | 耳下腺遊離細胞 / アミラーゼ分泌 / Carbamylcholine / Substance P / 細胞内遊離カルシウム / 還流 |
Research Abstract |
耳下腺遊離細胞に対するCarbamylcholine(CCh)やSubstance P(Sub-p)のアミラーゼ分泌効果は我々が開発した還流系を用いて検討した場合2相性の変化を示す。すなわちこれらアゴニストの添加開始後30-60秒でみられる鋭いピーク(この値はCCh,Sub-P共通して刺激をしないときの値の15-20倍)と約3分後にえられるplateau(CChではpeakの20%,Sub-PではPeakの10%以下)である。CChの場合、plateauは外液のカルシウム(Ca^<2+>)に依存するがSub-Pではあまりはっきりしない。なお、Sub-PやCChの最大効果は、Isoproterenol(Isop)のそれにほぼ匹敵した。CChやSub-Pによる細胞内遊離カルシウム([Ca^<2+>]_i)の変化をbatch法で検討するとアミラーゼ分泌効果と類似した2相性の変化、すなわち、アゴニスト添加約20秒後にみられるpeak(刺激前の約5倍)と1〜2分後に得られるplateau (peakの40%)を示す。外液のCa^<2+>を除去したときアミラーゼ分泌および[Ca^<2+>]_i共に最初のpeakのみを示し、plateauは消失する。アミラーゼ分泌とほぼ同様な条件下でCChの^<45>Ca effluxに及ぼす効果をしらべると2相性となるがアミラーゼ分泌より多少ゆっくりおこる。ところで、CChやSub-Pのアミラーゼ分泌効果は、[Ca^<2+>]_iの変化とは必ずしも平行しないことが、time-courseやdose-responseの比較、あるいはcobaltを添加や高カリウムを用いたときなどでみられた。特に顕著なのは、CChで連続刺激時外液のCa^<2+>を一時的に除去し、次で再びCa^<2+> mediumに切替えた時である。この場合アミラーゼ分泌は、再び鋭いpeakを示し、その大きさは最初のpeakにほぼ匹適した。しかし、[Ca^<2+>]_iの回復はせいぜいplateauレベルであった。この第2のpeakのメカニズムは明かではない。この結果は、アミラーゼの分泌には平均としての[Ca^<2+>]_iよりむしろ細胞内における局所的なCa^<2+>の分布の変化が重要なのかもしれない。なおCChやSub-PとIsopとの間でアミラーゼ分泌の増強効果がみられ、この変化がCa^<2+>とcyclic AMPすなわち第二伝達体間の相互作用によることを示唆する成績を見出し、現在検討中である。
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[Publications] Keiichi Yoshimura Eriko Nezu: "Dynamic changes in the rate of amylase release induced by various secretagogues examined in isolated rat parotid cells by using column perifusion" Japanese Journal of Physiology. 41. 443-459 (1991)
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[Publications] Keiichi Yoshimura Eriko Nezu: "Interaction between the calcium and cyclic AMP messenger systems in perifused rat parotid acinar cells" Biochemical Pharmacology. 43. 1031-1041 (1992)