1991 Fiscal Year Annual Research Report
顔面・口腔領域の痛覚の伝達における三叉神経節内でのエンケファリンによる調節
Project/Area Number |
03670866
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
前田 定秋 大阪大学, 歯学部, 助手 (00135732)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斎藤 喜八 大阪大学, 歯学部, 助教授 (40110788)
|
Keywords | 三叉神経節 / エンケファリン / カルシウムチャネル / 知覚伝達 |
Research Abstract |
(1)モルモットより三叉神経節を摘出し、通法に従って調製した細胞膜画分を用いて、オピエ-ト受容体のうちμ受容体に選択性の高いリガンドである[ ^3H]ーDAMGOと、δ受容体に選択性の高いリガンドである[ ^3H]ーDADLEにより結合実験を行った。[ ^3H]ーDAMGOと[ ^3H]ーDADLEの最大結合量は各々7.2±3.3、29.0±6.3fmole/mg蛋白で、その親和性(Kd値)は0.7nMおよび4.3nMであり、δ受容体が多く存在していることが比較的多く存在している延髄とほぼ同程度であった。 (2)モルモットの三叉神経節における電位依存性カルシウムチャネルの存在の有無を調べるため三叉神経節の神経膜画分への[ ^3H]ーnitrendipine(L型カルシウムチャネルのリガンドおよび[ ^<125>I]ーωーconotoxin(N型のリガンド)の結合実験を行った。その結果、[ ^3H]ーnitrendipine、[ ^<125>I]ーωーconotoxinの最大結合量は各々15.3±3.4、6.0±2.0fmole/mg蛋白であり、そのKd値は35pMおよび90pMであった。このことより三叉神経節内にはN型およびL型の電位依存性カルシウムチャネルが存在することが明らかとなり、このことは三叉神経節内において一次知覚神経の興奮が制御されている可能性を示すものである。 (3)モルモットをZamboni液で潅流固定し、三叉神経節部の凍結切片を作製、leucineーenkephalin(LeuーEnk)およびsubstannce P(SP)の抗体を用いて同一切片にて免疫二重染色を行い、共焦点レ-ザ-顕微鏡にて観察した。LeuーEnk陽性神経線維が一次知覚神経線維の細胞体の周囲を密に取り巻いている像が観察された。 以上の結果から三叉神経節内においてエンケファリン含有神経が口腔、顔面領域の知覚の伝達を調節している可能性が示唆され、またその作用機序の一つとしてカルシウムチャネルとの関連が考えられた。
|