1992 Fiscal Year Annual Research Report
耳下腺の刺激-分泌連関におけるカルシウム動員の生理的意義とその制御機構
Project/Area Number |
03670869
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Research Institution | Higashi-Nippon-Gakuen University, School of Dentistry |
Principal Investigator |
東城 庸介 東日本学園大学, 歯学部, 助教授 (90111731)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 聡子 東日本学園大学, 歯学部, 助手 (30190391)
谷村 明彦 東日本学園大学, 歯学部, 助手 (70217149)
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Keywords | 唾液腺 / 耳下腺 / 細胞内カルシウム / K^+放出 / 水分泌 / プロテインキナーゼC / セカンドメッセンジァー / カルシウム動員 |
Research Abstract |
実験はすべて酵素処理により得られたラット耳下腺の遊離腺房細胞を用いて行った。 1.カルバコール刺激によるK^+放出に対するTMB-8とBAPTAの効果。 コリン作動薬であるカルバコール(CCh;10μM)を細胞suspensionに添加すると著しいK^+放出反応が惹起された。細胞内Ca^<2+>拮抗薬であるTMB-8(30μM)で細胞を5分間前処理し、CChで刺激したところ、K^+放出反応は強く抑制された。さらに、細胞内Ca^<2+>キレート剤BAPTA-AM(10μM)で細胞を前処理し、BAPTAを細胞内に取り込ませ、CChによるK^+放出を調べた。K^+放出反応はほぼ完全に消失した。 2.K^+放出に対するイオノマイシンおよびタプシガージンの効果。 Caイオノフォアであるイオノマイシン(Iono)あるいは小胞体Ca-ATPase阻害剤であるタプシガージン(ThG)により細胞内Ca^<2+>レベル([Ca^<2+>]i)のゆっくりとした上昇がみられたが、K^+放出反応は小さかった。Iono(0.5μM)とThG(0.5μM)を同時に作用させたところ、[Ca^<2+>]iの上昇がよりすみやかとなり、著しいK^+放出反応が出現した。 3.K^+放出に対するPMAとスタウロスポリンの効果。 Cキナーゼ活性化剤PMAは単独ではK^+放出になんの影響も与えなかったが、CChによるK^+放出に対しては弱い抑制効果を有していた。また、PMAはCChによるイノシトールリン酸生成や[Ca^<2+>]i上昇作用を有意に抑制した。Cキナーゼ阻害剤スタウロスポリンはCChによるK^+放出を抑制しなかった。 以上の結果から、ラット耳下腺における水分泌(K^+放出)では[Ca^<2+>]iの上昇が最も重要な細胞内シグナルであることが確認された。Cキナーゼの活性化は水分泌を促進せず、むしろ、抑制的に作用するようである。Cキナーゼと水分泌調節との関係についてはさらなる研究が必要である。
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