1991 Fiscal Year Annual Research Report
物理的外力に対するヒト歯根膜線維芽細胞の応答について
Project/Area Number |
03670878
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
川瀬 俊夫 神奈川歯科大学, 歯学部, 助教授 (30084784)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 完 神奈川歯科大学, 歯学部, 助手 (80164250)
西山 勝弘 神奈川歯科大学, 歯学部, 助手 (20084783)
高垣 裕子 神奈川歯科大学, 歯学部, 講師 (60050689)
斎藤 滋 神奈川歯科大学, 歯学部, 教授 (80084713)
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Keywords | ヒト歯根膜線維芽細胞 / 細胞接着・伸展因子 / ハイドロキシアパタイト親和性 |
Research Abstract |
[目的]:歯根膜において、組織再生と再付着の過程はどのように細胞増殖が調節され、歯根膜としての特徴をもった細胞に分化するかを知ることは極めて重要である。すでに、本学会総会において、ヒト歯根膜由来線維芽細胞(HPLF)のconditioned medium中に細胞増殖・分化調節因子と細胞接着・伸展因子(CASF)が存在することを報告してきた。そこで、このCASFがセメント質・象牙質をミネラル構成成分であるハイドロキシアパタイト(HA)に親和性を示すかを検索した。[材料および方法]:HPLFを1×10^6 cells/100mmdishにinoculateし、confluenteに達するとFcsーfreeのMCDB107培地に交換し、さらに24時間培養し、その培養上清のconditioned medium(HPLFーCM)を実験材料とした。HPLFーCMを限外濾過(YMー5)で濃縮し、GPC系のPOー60Kカラムを用いたHPL・(日本分光社製)で分離し、細胞接着・伸展活性の高い推定分子量50KDaの分画150KDa CASF)を得た。さらに、HPLFーCMと50KDa CASFはハイドロキシアパタイトカラム(BioーGel HTP,0.2×12cmカラムサイズ)を用いてnonーinteracted F(HA(-))と0.5HPi溶液(pH7.4)で溶出されるinteracted F.(HA(+))に分離された。その後各分画は、PDー10を用いて脱塩、乾燥後、細胞接着・伸展実験を行い、DNA量の分析と位相差顕微鏡観察を行った。[結果および考察]:HPLFーCMと50KDa CASFをHAで分離し、各分画をhydrophobic wellにコ-ティングし、3時間後の細胞接着活性を健定した。すなわち、50KDa CASF中、HAに親和性の高い分画が細胞接着活性が高いことが認められた。また、細胞の伸展活性は位相差顕微鏡観察から明らかに、HAに親和性の高い50KDa/HA(+)が認められた。従って、50KDa CASFはセメント質や象牙質のミネラル相とinteractし、細胞の接着と伸体が起こり、細胞の増殖と分化を調節することが示唆された。
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[Publications] 川瀬 俊夫: "ヒト歯根膜線維芽細胞の生化学的特徴" 歯界展望. 78(6). 1290-1296 (1991)
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[Publications] 川瀬 俊夫: "歯根膜の再生能力と咀嚼に対する応答" 歯界展望. 78(6). 1322-1328 (1991)
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[Publications] 須田 正文,川瀬 俊夫: "コンポジット,レジン材料の細胞生化学的研究:Triethylene Glycol Dimethylacrylate(TEGDMA)の骨芽細胞の増殖と分化" 神奈川歯学. 26(1). 11-24 (1991)
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[Publications] 久保 繁樹,川瀬 俊夫: "ヒト歯根膜線維芽細胞(HPLF)の細胞接着・伸展因子について" 神奈川歯学. 26(2). 129-146 (1991)