1992 Fiscal Year Annual Research Report
モノクローナル抗体や酵素活性を応用した破骨細胞の起源の解明に関する組織学的研究
Project/Area Number |
03670896
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
赤峰 昭文 九州大学, 歯学部, 助教授 (00117053)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 龍誠 九州大学, 歯学部, 助手 (20205008)
相田 宜利 九州大学, 歯学部, 講師 (10127954)
|
Keywords | 破骨細胞 / 体外免疫法 / モノクローナル抗体 / 免疫電顕 / リソゾーム性膜シアロ糖タンパク質 |
Research Abstract |
1.破骨細胞に対するモノクローナル抗体の作製とその特性。活性型ビタミンD_3存在下で形成されたラット破骨細胞様多核細胞(MNC)を抗原として、体外免疫法によるモノクローナル抗体の作製を行ったところ、吸収窩に存在して機能している破骨細胞に反応性を呈する抗体ch1が得られた。本抗体はラット骨組織において破骨細胞に特異的に反応しその反応性は吸収窩に存在している破骨細胞が骨と接している部分に認められた。本抗体の認識する抗原は破骨細胞のruffled borderかclear zoneのいずれかに存在すると考えられるが抗原の詳細な分布に関しては免疫電顕を用いて現在、解析中である。またin vitroで形成されたMNCを象牙質片上に播種することにより、初めて本抗体に強陽性のMNCが認められることにより、本抗体が認識する抗原は破骨細胞の硬組織へのホーミングあるいは吸収機能に関連した分子であることが示唆された。 2.破骨細胞の分化過程における免疫電顕組織学的解析。リソゾーム性膜シアロ糖タンパク質(LGP107)に対する特異抗体を用いて破骨細胞の機能変化や前破骨細胞からの分化・成熟過程での本タンパク質の発現量と細胞内局在の変化を免疫形態学的に検討した。その結果、LGP107は活性化破骨細胞の発達した波状縁とそれに続く空胞ならびに二次リソゾームに強く検出され、骨面と接触する部分で最も強く、骨面から離れるに従って減少する傾向にあった。一方、骨面から離れて発達した波状縁を失った不活性あるいは後破骨細胞や未成熟な前破骨細胞では細胞のいずれの部分にも免疫反応性は殆ど認められなかった。以上のことより、LGP107は活性化破骨細胞で大量に合成され、直ちに小胞輸送によって波状縁部に運ばれ、細胞膜と融合することによって波状縁膜に組み込まれること、波状縁ではその特有の性質から骨吸収窩の酸性の機能的微小環境の形成・維持に寄与していることが示唆された。
|