1991 Fiscal Year Annual Research Report
メタクリル酸ブチル系共重合体を用いた組織調整材の試作とその物理的性質
Project/Area Number |
03670908
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
片倉 直至 東北大学, 歯学部, 助教授 (70005031)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
細谷 誠 東北大学, 歯学部, 助手 (70199503)
本間 久夫 東北大学, 歯学部, 教授 (90005017)
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Keywords | 組織調整材 / ポリメタクリル酸ブチル / 共重合体 / 動的粘弾性 / 時間ー温度換算則 / 貯蔵弾性率 / 動的粘性 / 損失正接 |
Research Abstract |
メタクリル酸ブチル(BMA)とメタクリル酸エチル(EMA)とを用い、組成と分子量の異なる共重合体を合成した。これらの共重合体と、アルコ-ルを含まない可塑剤液との混合物の動的粘弾性について詳細に検討した。 さらに試作材料の流動性、ゲル化時間などの臨床的操作性を調べ、以下のような成果を得た。 1.【動的粘弾性の測定と解析】 粉液混合物の貯蔵弾性率G^´、動的粘性η^´、損失正接tanδの周波数および温度依存性を求め、これらの測定値に時間ー温度換算則を適用することによって、G^´、η^´、tanδのマスタ-カ-ブを作成できた。G^´やtanδに対する共重合体の分子量の影響が、特に低周波数領域で顕著に現われた。すなわち、ポリメタクリル酸ブチル系(PBMA系)を用いた試作材料は、長い側鎖の内部可塑化の影響を受けるので、ポリメタクリル酸エチル系(PEMA系)を用いた従来の材料よりもG^´が大きくなった。高周波数領域では、PBMA系のtanδはPEMA系のそれよりも小さく、低周波 数領域では逆に大きくなった。このような粘弾性特性は、本材料にとって長所ともなり得るものである。すなわち、従来の材料は経時的に固くなるのに対して、試作材料はやわらかく、しなやかな性質を有することがわかった。 2.【臨床的操作性の把握】 臨床操作上重要な因子である粉液混合物の流動性とゲル化時間を、回転粘度計を用いて調べた。その結果によれば、これらの特性は共重合体の分子構造、粒度分布および分子量、さらに温度、液の粘度、粉末ー液比などの影響を受けて変化することが明らかになった。 本研究の成果をふまえれば、共重合体の組成と分子量を適切に調節することによって、さらに優れた性質を有する新しい組織調整材の製造が可能である。
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Research Products
(1 results)