1991 Fiscal Year Annual Research Report
新規吸入麻酔薬セボフルランと血管収縮性:内皮細胞機能と活性酸素ラジカルの連携
Project/Area Number |
03670963
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
吉田 和市 神奈川歯科大学, 歯学部, 助手 (50200978)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野口 政宏 神奈川歯科大学, 歯学部, 教授 (50084728)
岡部 栄一郎 神奈川歯科大学, 歯学部, 助教授 (50097276)
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Keywords | sevoflurane / 活性酸素ラジカル / 血管内皮細胞 / SOD |
Research Abstract |
雑種成犬より上腸間膜動脈を摘出しリング標本を作成した。これらを95%O_2、5%CO_2で飽和した37℃のPhysiological Saline Solution(PSS)中に2.0gの張力を負荷して懸垂した。約120分間安定させた後、バス内に薬剤を直接投与し等尺性張力の変化を記録した。sevofluraneの投与は前述混合ガスをsecoflurane専用気化器に通気しガスモニタ-で濃度をモニタ-しながら行った。norepinephrineで前収縮させた血管に内皮細胞非依存性弛緩物質(nitroglycerin)と内皮細胞依存性弛緩物質(acetylcholine,bradykinin,calcium ionophore A23187)を投与し用量反応曲線を決定した。これからED_<50>値を概算し、その濃度における内皮細胞依存性弛緩反応におよぼすsevofluraneの影響をsuperoxide dismutase(SOD)存在、非存在下で検討した。さらに同様の実験下でsevofluraneを通気したPSSにスピントラップ剤5,5ーdimethylー1ーpyrroline Nーoxide(DMPO)を添加し、得られたスピンアダクトを電子スピン共鳴装置(ESR)で分析した。 nitroglycerinで生じる内皮細胞非依存性弛緩反応にsevoflurane(2.3%,4.6%)は影響を及ぼさなかったに対してacetylcholine,bradykinin,A23187で生じる内皮細胞依存性の弛緩反応はsevoflurane(2.3%,4.6%)により有意に抑制された。 また、superoxide oxide anionのscavengerであるSOD存在下でsevofluraneによる内皮細胞依存性弛緩反応の抑制は減弱された。さらに95%O_2、5%CO_2、sevofluraneを通気したPSSをESRで分析した結果、sevofluraneはhydroxyl radicalを発生させ、sevofluraneの暴露時間に依存してスピンアダクトの強度を増強させることが確認された。また、SODおよびdeferoxamineはsevofluraneで生じるhydroxyl radicalのスピンアダクトの強度を減弱させた。 以上の結果からsevofluraneの内皮細胞依存性弛緩反応の抑制にFenton反応を介した活性酸素ラジカルが関与している可能性が示唆された。
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