1992 Fiscal Year Annual Research Report
歯の移動に伴う歯周組織の改造変化と応力・歪みなどの生体力学的要因との関連性
Project/Area Number |
03670973
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
丹根 一夫 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (30159032)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 穣慈 大阪大学, 歯学部, 助手 (90243245)
脇坂 聡 大阪大学, 歯学部, 助教授 (40158598)
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Keywords | 歯の移動 / 応力 / 歯根膜 / 神経線維 / CGRP / Substance P |
Research Abstract |
前年度において明らかとなった歯周組織の応力と組織変化の関連性をふまえて、本年度はさらに免疫組織化学的検討を加えた。 すなわち、一次知覚神経線維に含まれるcalcitonin gene-related peptide(CGRP)に着目し、切歯歯根膜に分布する神経線維について検討した。さらに、CGRPの抗体を用いることにより、CGRP含有神経線維のみを特異的に染色し、詳細な検討が可能となった。また、CGRPとは異なる神経ペプチドであるsubstance P(SP)含有神経線維についても検討した。 実験には体重25〜30gのddy系雄性マウスを用い、これの下顎切歯歯根膜中の知覚神経線維を検討の対象とした。動物を潅流固定の後、下顎を摘出し、脱灰に続いて20〜30μmの凍結切片を作成、卵白アルブミンスライドグラス上に貼り付けた。間接免疫蛍光抗体法に従い、CGRPとSPの抗体を作用させ、各々にfluorescein isothiocyanate-conjugated antirat IgGもしくはrhodamine isothiocyanate-conjugated antirabbit IgGを応用し、蛍光顕微鏡にて検鏡した。さらに、これらを同時に作用させることで二重染色し、同一切片上にても観察した。 その結果、CGRP含有神経線維分布は、線維束が根尖から歯頚部側1/3の舌側および唇側歯槽骨より歯根膜中に侵入し、歯軸方向に分枝しながら進んでいた。その分布は唇側と舌側にて全く異なり、舌側では歯根膜の骨側半分のalveorus-related partに、唇側ではエナメル器と歯槽骨の間に、それぞれ分布していた。さらに歯根膜の中央および根尖1/3に密な神経線維の分布を示し、舌側ではより密な分布を示していた。歯頚部1/3では、唇、舌側ともに疎な分布を示していた。歯根膜中に特殊終末は認められなかった。SP含有神経線維についても同様の結果が得られた。さらに、二重染色により、CGRPとSPはほぼ同一の神経線維に含まれる可能性が強く示唆された。
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[Publications] 丹根 一夫: "歯の移動に関する生体力学的研究-応力と骨改造との関連性について-" 日本矯正歯科学会雑誌. 51. 179-184 (1992)
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[Publications] Kato,J.,Tanne,K.,Ichikawa,H.,Matsuo,S.,Wakisaka,S.et al.: "Distribution of Calcitonin Gone-related Peptide and Substance P-immunoreactive Nerve Fibers and their Correlation in the Periodontal Ligament of the Mouse Incisor" Acta Anatomica. 145. 101-105 (1992)
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[Publications] Tanne,K.,Shibaguchi,T.,Terada,Y.,Kato,J.and Sakuda,M.: "Stress Levels in the PDL and Biological Tooth Movement.in:Biological Mechanisms of Tooth Movement and Craniofacial Adaptation(Davidavitch,Z.editsy)pp.201-209" The Ohio Syaxe University, 601 (1992)