1991 Fiscal Year Annual Research Report
耐齲蝕性を重視した矯正用接着剤の研究ーフッ素徐放性レジンの応用ー
Project/Area Number |
03670974
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
山之内 哲治 岡山大学, 歯学部・附属病院, 助手 (60182599)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中後 忠男 岡山大学, 歯学部, 教授 (40064654)
三谷 清二 岡山大学, 歯学部, 助教授 (70097517)
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Keywords | フッ素徐放性レジン / 矯正用接着剤 / 引張り接着強さ / フッ素放出量 / 臨床試験 |
Research Abstract |
フッ素を配合した歯科用接着剤による歯面処理が齲蝕の発生予防にきわめて有効であることは,周知の事実である。本研究では,近年開発されたフッ素除放性レジンを矯正用接着剤として臨床応用することの可能性を明かにする目的で,フッ素徐放性レジンの矯正用接着剤としての装置接着部位周辺のおける齲蝕予防の効果,ならびにその実用性につき検討を行なっている。今年度は,以下の3項目について検討を行なった。 1.フッ素徐放性レジン(直径20.0mm,厚さ1.0mmに重合硬化したテスピ-ス)からリン酸緩衝液中へ放出されるフッ素の量。 2.フッ素徐放性レジンの牛歯エナメル質に対する引張り接着強さ。 3.本学部学11名の口腔内上顎左右側切歯・犬歯にフッ素徐放性レジンで矯正用ブラケットを装着し,装着から3週間経過した時点のブラケット脱離に必要な引張り接着強さ,破断面の検討ならびにブラケット脱落率。 その結果,フッ素徐剤性レジンテストピ-スからのフッ素放出は,レジン1g当たり平均136.7μg/10daysの放出量を3ケ月間以上持続した。これを1口腔内20歯にブラケットを装着した場合に換算すると,8.2μg/10daysとなり,臨床応用上問題のない量であることが明かとなった。牛歯エナメル質に対する引張り接着強さは,10歯の平均で初期196.1kg/cm^2,6ケ月間経過後の時点で163.2kg/cm^2であった。 ブラケット装着から3週間経過した時点における口腔内のブラケット脱離に必要な引張り接着強さは,上顎側切歯で平均26.5kg/cm^2,上顎犬歯で平均53.2kg/cm^2であった。またブラケット脱離による接着系の破壊様式は,ブラケットとレジンとの間の界面破壊ならびに混合破壊がほぼ同数を占め,その発生頻度はそれぞれ50.5%ならびに49.5%であった。なお実験期間中にブラケットの脱落は認められなかった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 中後 忠男,岸本 尚文,三谷 清二: "耐齲蝕性を重視した矯正用接着剤ーフッ素徐放性レジンの応用ー" 中・四国矯正歯科学会雑誌. 2. 62-63 (1990)
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[Publications] 岸本 尚文,三谷 清二,中後 忠男: "フッ素徐放性レジンを用いた耐齲蝕性矯正用接着剤応用への試行" 日本矯正歯科学会雑誌. 49. 594 (1990)