1991 Fiscal Year Annual Research Report
歯の構造の異常の発生機序に関する組織学的・生化学的研究
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03670984
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Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
大野 紘八郎 鶴見大学, 歯学部, 助教授 (70014206)
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Keywords | 形成不全歯 / 歯の構造の異常 / 発生機序 / 組織学的所見 / 電顕的観察 / 歯質の生化学的分析 |
Research Abstract |
本年度は、小児歯科臨床で遭遇する種々の形成不全歯について、医科的既往ならびに歯科的既往の明確な患者からの被検歯を採取して、形態学的、組織学的観察ならびに、歯質の化学組成について分析検索することを目的として研究を行なった。 まず最初に、資料の採取に重点をおいた。採取した資料はamelogenesis imperfecta,dentinogenesis imperfecta,odontodysplasia,epidermolysis bullosa,tuberous sclerosis,achondrodysplasiaの患児から得られた抜去歯である。また、カルシトニン分泌過剰症を疑わせる症例の資料も採取した。資料はいずれも10%ホルマリンまたは5%グルタ-ルアルデヒド溶液中に保存している。透過電子顕微鏡(以下、TEMと略す)による観察(ダイヤモンドナイフを平成3年度科研費で購入)から、amelogenesis imperfectaのエナメル質では、球状型の石灰化およびLiesengang環紋様の交互に並んだ無機質が認められた。また、小柱構造を拡大したTEM写真から、2種の大きさのアパタイト型結晶が認められた。石灰化不全を有する低形成型amelogenesis imperfectaであり、同一歯で両者を共存する報告は新知見であった。 乳歯と永久歯の交換過程が著しく遅延している症例において、カルシトニンの分泌量が287ピコグラム/ミリリットルと異常に高い値を確認した。この症例の乳歯根外側の吸収部には破歯細胞が認められず、骨様硬組織像が観察された。また、細胞成分を封入したセメント質の肥厚が観察された。これらの結果はすべて新知見であった。 採取した資料のTEMによる観察は、試料の作製に当初の計画より、時間を費し、遅れているが、一部資料については、歯質の化学組成を定性・定量的分析を行なった。
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