1993 Fiscal Year Annual Research Report
タンニンが共存物質と形成する複合体の構造と機能の研究
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03671001
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Research Institution | OKAYAMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
波多野 力 岡山大学, 薬学部, 助教授 (50127578)
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Keywords | タンニン / 複合体 / ゲラニイン / ゲンノショウコ |
Research Abstract |
ゲンノショウコ乾燥葉の熱湯抽出エキスをカラムに通し,ポリフェノール成分がほとんどゲラニインであるフラクションから「水溶性ゲラニイン」の単離を試みてきた.イオン交換樹脂を通して金属イオンを除いた後,このフラクション中のポリフェノール成分について逆相系HPLCで,イオン交換樹脂を通す前と後のゲラニイン量を比較した.その結果樹脂を通した後は分解によって生じたと思われるgallic acid,ellagic acid,brevifolin carboxylic acid等のピークの出現とともにゲラニイン量が著しく減少していた.そこでイオン交換樹脂のような固定相への吸着が考えられない遠心向流クロマトグラフを使用してエキスの濃縮を試みた.この場合も操作の前に比べてゲラニイン量は減少し,さらに分解のみでなく変化によって生成したと思われるchebulagic acidのピークの増大が認められた.この結果は「水溶性ゲラニイン」を含むエキスから結晶ゲラニインが析出しにくいのは「水溶性ゲラニイン」の方がより安定な複合体を形成しているためではないことを示唆している. これまでの検討方法では「水溶性ゲラニイン」の単離は困難であった.ちなみに得られたchebulagic acidを別途結晶ゲラニインと混合した結果,可溶化におよぼす効果は認められなかった. 今回「水溶性ゲラニイン」と仮称する複合体が医薬としては,水に難溶の結晶ゲラニインと比較して著しく有効であり,また容易に生成できることを明らかにした.この複合体形成の現象を解明することは自然界のタンニンの共通した問題を解明する手掛かりとなる.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Takuo Okuda: "Natural Polyphenols as Antioxidants and Their Potential Use in Cancer Prevention" Polyphenols Actualites. 221-235 (1993)
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[Publications] Takuo Okuda: "“Fractionation of Plant Polyphenol" In “Collective Book on the Centrifugal Partition" Marcel Dekker,New York (in press.),