1992 Fiscal Year Annual Research Report
有機セリウム試薬の開発並びにその抗腫瘍性アンメアクマリンの全合成への応用
Project/Area Number |
03671008
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Research Institution | Hokkaido Pharmaceutical University School of Pharmacy |
Principal Investigator |
長澤 一男 北海道薬科大学, 薬学部, 助教授 (50128831)
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Keywords | 有機セリウム試薬 / マンメアクマリン / 抗腫瘍性 |
Research Abstract |
昔からその4位にアルキル置換基(特にメチル基)を有するクマリン環の合成法はvon Pechmann反応を利用すると相場が決っていた。しかしながら、マンメアクマリンの如くナフタレン骨格のperi位に相当する4、5位双方に置換基を有する場合、先の反応では異性体のクロモンが得られる等致命的である。そこで我々は既に我々によって開発された方法(t-ブチル β-ケトエステルとフェニルセリウムクロリドを反応させる。Heterocycles,1989)を利用して問題のマンメアクマリンの鍵化合物の合成を行った結果、次の事が判明した。 (1)まず4位光学活性基置換クマリン核合成に必須な5位にキラル不斉炭素原子(三級)を有する各種のβ-ケトエステルを、対応するキラルな酸ブロミドとt-ブチル リチオアセテート(固体)から無水テトラヒドロフラン(THF)中、-78℃で反応させることにより、ラセミ化することなく70-80%の収率で得ることに成功した。 (2)(S)-(+)-2-アミノ酪酸を亜硝酸ソーダ/硫酸、次いで酢酸処理して得られる(S)-(+)-2-アセトキシ酪酸の酸ブロミドを(] SY.encircled1. [)と同様に処理すると、光学純度100%のt-ブチル 4-アセトキシ-3-オキソヘキサノエートが好収率で得られた。 (3)更にそれとフロログルシンのトリメトキシメトキシエーテルのLi塩と無水セリウムクロリドから得られた有機セリウム試薬を、無水THF中、-60℃で反応させることにより、4位に(S)-(+)-2-アセトキシプロピル基を有する鍵化合物(クマリン)が60%の収率で生成することが判明した。 以上本法を用いれば、今迄合成不能であった4、5位同時置換クマリン類の4位に任意に光学活性基を導入することが可能であり、構造活性相関等を調べる際の類縁体合成などに極めて有用な合成法になるであろうと思われる。
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[Publications] Kazuo NAGASAWA: "An Easy and Absolute Diagnosis for the Coumarin/Chromone Discrimination by Using Oxygen-17 NMR" Chem.Pharm.Bull. 41. 211-213 (1993)
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[Publications] Kazuo NAGASAWA: "Alumina:an Improved and General t-Butyl Ester Synthesis via Its Acid Bromides/t-Butyl Alcohol" Chem.Lett.(1993)