1991 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03671009
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Research Institution | Tohoku Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
広井 邦雄 東北薬科大学, 薬学部, 教授 (00012641)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 直子 東北薬科大学, 薬学部, 助手
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Keywords | パラジウム触媒 / 不斉アリル化反応 / 不斉合成 / キラルエナミン / リン配位子 / 不斉環化反応 |
Research Abstract |
1.キラルアリルエステルを用いたパラジウム触媒による不斉アリル化反応 (S)ーProline,(S)ーvaline,(S)ーphenylalanine allyl esterから導かれるキラルエナミン,イミン,ヒドラゾンにパラジウム触媒を作用すると、不斉アリル化反応をおこし光学活性のαーアリルカルボニル化合物を得ることができる。生成物の立体化学を明らかにし、得られた実験結果を基にしてその不斉誘起機構を確立した。(S)ーproline allyl esterおよび(S)ーvaline allyl esterを原料とすると本法はケトンおよびアルデヒドの効率のよいαーアリル化法となる。 2.リン配位子を分子内に有するキラルエナミンのパラジウム触媒による不斉アリル化反応 (S)ーprolineから誘導される(S)ー2ーdiphenylphosphinomethylprrolidineから導かれるエナミンにパラジウム触媒下アリル化剤を作用すると、phosphine基がキラル配位子として作用し、不斉アリル化反応をおこす。ここで、アリル化剤の種類を変えると、不斉誘起に差がみられる。すなわち、本反応系においては、アリル化剤の陰イオン部が不斉誘起に対して立体電子的影響を及ぼしていることがわかった。アリル化剤の陰イオンとしては適度の大きさがあり、安息香酸アリルエステル類が効果的で、その誘導体としては電子吸引基を有する系が大きな不斉収率を示す。 3.キラルπーアリルパラジウム錯体を経由する不斉環化反応 硫黄原子上にキラリティを有するとallylic sulfinatesの分子内の適当な位置に求核部を有する系をパラジウム触媒反応に付すと、パラジウム触媒によるallylic sulfinateーsulfone転位をおこして光学活性のallylic sulfoneを生成し、次にallylic sulfoneからキラルπーアリルパラジウム錯体を経由する分子内求核置換反応をおこし光学活性環状化合物を与える。
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