1992 Fiscal Year Annual Research Report
ヘテロ原子で置換された連続キラル構造単位の新構築法の開発
Project/Area Number |
03671022
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Research Institution | Kobe Women's College of Pharmacy |
Principal Investigator |
内藤 猛章 神戸女子薬科大学, 薬学部, 教授 (00068339)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮田 興子 神戸女子薬科大学, 薬学部, 講師 (90102110)
木口 敏子 神戸女子薬科大学, 薬学部, 講師 (70068344)
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Keywords | 求核付加反応 / チオフェノール / ベンジルメルカプタン / 不飽和カルボン酸 / ジルチアゼム / イソシチリキン / γ-ラクトン / 立体選択性 |
Research Abstract |
本年度は、前年度で得られた結果に基づいて、最も高い選択性で付加反応が進行したチオール類について、それらの基質依存性を検討した。不飽和ニトリルへの付加反応はエステル類の場合とほぼ同様に立体特異的反応が進行するのに対して、不飽和アミドへの付加反応はチオフェノールの場合、高温度条件が必要であるため選択性が低くなるのに対して、ベンジルメルカプタンを求核試薬として用いると低温でしかも立体特異的付加反応が進行した。また不飽和イミドにおいてはE-およびZ-体から同じ付加体が立体選択的に得られた。 これまでに報告されている不斉Michael型付加反応においては連続した不斉中心を選択的に構築した例は少なく、特にチオールの不斉付加反応においては連続した不斉中心を選択的に構築した例は知られていなかった。そこで、入手容易な不斉源としてオキサゾリジノン及びスルタムを選び、これらの不斉補助基を有するイミド類へのジアステレオ面区別付加反応を詳細に検討した結果、基質の置換基によって差はあるものの、比較的よい選択性で連続した不斉中心を構築できることが判明した。次にこのようにして得た不斉付加反応の応用として、昨年度にラセミ体の合成を行なった虚血性心疾患薬(+)-ジルチアゼムの不斉合成を行なった。 さらに、本年度行なったチオール類の不斉付加反応により合成した付加体を共通中間体とする酒類の芳香成分である5員環ラクトン類の不斉合成も行なった。すなわち本研究を遂行中に得られた付加体の硫黄原子を脱離基として用いる立体選択的置換反応を用いることにより(+)-trans-ウイスキーおよび(+)-trans-コニャックラクトン類の不斉合成をも達成することができた。なおランチオニンの合成については付加反応の選択性が低く達成できなかった。
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[Publications] 宮田 興子: "A Facile Conversion of (Z)-2-Alkenoic Esters into the (E)-Isomers with Diphenyl Disulfide" Synthesis. 1123-1126 (1990)
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[Publications] 宮田 興子: "Asymmetric Induction at Two Contiguous Stereogenic Centers by Diastereoface Differentiating Nucleophilic Addition Reaction" Tetrahedron Lett.32. 3519-3522 (1991)
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[Publications] 宮田 興子: "Stereospecific Nucleophilic Addition Reaction to Olefins.Addition of Thiols toα,β-Unsaturated Carboxylic Acid Derivatives" J.Org.Chem.56. 6556-6564 (1991)
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[Publications] 宮田 興子: "A New Stereoselective Route to γ-Butyrolactones:Asymmetric Synthesis of (+)-trans-Whisky and (+)-trans-Cognac Lactones" Chem.Pharm.Bull.40. 2579-2581 (1992)