1992 Fiscal Year Annual Research Report
キノン誘導体の抗菌性発現におけるキノン代謝酵素の役割
Project/Area Number |
03671044
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
畝本 力 千葉大学, 薬学部, 教授 (30089601)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 万喜 千葉大学, 薬学部, 助教授 (50092086)
|
Keywords | NADH-quinone reductase / NADPH-quinone reductase / DT-diaphorase / キノン代謝 / 誘導 / キノン毒性 / 2-メチレン-4-ブチロラクトン / 大腸菌 |
Research Abstract |
大腸菌をメナジオン存在下に増殖させると、細胞質にNADHに特異的で反応にFMNを必要とするNADH-quinonereductase(NQR)が誘導される。この酵素は動物細胞で報告されているDTージアホラーゼと類似しており、酸素毒性を軽減する酵素として機能する可能性が高い。そこで、本酵素の誘導条件を詳細に検討し、特に本酵素の誘導に必要な誘導基質の化学構造について調査した。ナフトキノン誘導体として9種類、ベンゾキノン誘導体として7種類、フェノール系の抗酸化剤として3種類の化合物について、NQRおよびSODの誘導能を測定した所、NQRは2位にアルキル基を持つ1,4ーキノン構造によって特異的に誘導される事が判明した。これらの化合物はSODも誘導するが、NQRとSODに対する誘導シグナルは明らかに異なっていた。NQR誘導には特定の化学構造が必須である。一方、動物細胞のDTージアホラーゼについては、 Michael reaction acceptorとなる化合物が誘導基質である事が報告されている。そこで、これらの化合物について大腸菌のNQR誘導の可能性について調べた所、特定の化合物で有意の誘導活性が認められた。特に、誘導能の高い2-methylene-4-butyrolactoneによって誘導されるキノン代謝酵素について、詳細に検討した。その結果、メナジオンで誘導されるNQRとは異なる新しい酵素として、FMNを必要としないNQRおよびNADPHと特異的に反応するキノン還元酵素の誘導が確認された。これらの酵素はメナジオンでは誘導されず、酵素誘導のシグナルも異なっていた。また、これらの誘導酵素が通常の大腸菌の細胞質に存在するのか、誘導基質を加えずに増殖させた細胞を用いてキノン還元酵素の組織的な分析を進め、少なくともNADHと特異的に反応する酵素6種類およびNADPHと特異的に反応する数種類の酵素の存在を確認し、そのうちの特定の酵素が誘導される事を明らかにした。
|
Research Products
(1 results)
-
[Publications] Tsutomu Unemoto,Haruo Shimada,Maki Hayashi: "Chemical structures critical for the induction of FMN-dependent NADH-quinone reductase in Escherichia coli" Biochimica et Biophysica Acta. 1099. 170-174 (1992)