1991 Fiscal Year Annual Research Report
難代謝性フッソ化カルボン酸、ペルフルオロオクタン酸、に対する生体応答の機序
Project/Area Number |
03671046
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Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
狐塚 寛 富山医科薬科大学, 薬学部, 教授 (60092748)
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Keywords | フッ素化カルボン酸 / ペルフルオロオクタン酸 / 難代謝性 / 脂質代謝 / 生体応答 |
Research Abstract |
本研究は、難代謝性フッソ化カルボン酸であるペルフルオロオクタン酸(PFOA)を動物に投与したとき、動物がこの化合物にどのように応答するかを、脂質代謝の変化を指標として解析することを目的として行ない、下記の結果を得た。 (1)雄性ラットにPFOAを投与したときに引き起こされる肝臓の脂質組成の変化と各々の脂質のアシル基組成の変化を調べた。PFOAの投与に伴って、肝臓中のトリアシルグリセロ-ルは、1グラム組織当たり約1.8倍に増加した。この増加は、主として、オレイン酸とパルミチン酸を含むトリアシルグリセロ-ルの増加に起因していた。一方、ホスファチジルエタノ-ルアミンが僅かに増加するものの、他のリン脂質は変動しなかった。 (2)しかしながら、ホスファチジルコリンの分子種組成には著しい変化が認められた。すなわち、1グラム組織当たりのパルミチン酸ーオレイン酸分子種が増加し、パルミチン酸ーリノ-ル酸分子種は減少した。この変化を全肝臓当たりで見ると、PFOAの投与による肝肥大に伴うホスファチジルコリンの増加は、パルミチン酸ーオレイン酸及びパルミチン酸ーアラキドン酸分子種の増加によるものであり、他の分子種にはほとんど増減はなかった。 (3)上述した肝脂質組成の変化が、腎臓にどのように波及するかを検討するため、まず腎臓の1ーアシルグリセロホスホコリン アルシトランスフェラ-ゼに対するPFOAの影響を検討した。この酵素活性はPFOAの投与で上昇したが、この活性上昇にはテストステロンが必須であり、著しい性差が認められた。これに関しては既に論文として公表した。
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