1992 Fiscal Year Annual Research Report
新規神経系用薬開発のための基礎的研究-パーキンソン病治療薬をめざして-
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03671056
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
野田 敦子 九州大学, 薬学部, 助教授 (00037582)
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Keywords | 神経系用薬開発 / ペントアンスレン型複素環化合物 / QSAR解析 / ドラッグデザイン / モノアミンオキシダーゼ阻害物質 / 抗うつ作用 / 抗不安作用 / 体内動態 |
Research Abstract |
先に申請者は、ペントアンスレン型窒素複素環化合物の中にMAO阻害活性物質を見出し構造-活性相関の回帰式確立し報告している。これに基づき、ペントアンスレン骨格のC環に窒素だけでなく酸素や硫黄原子あるいはアルキル基の導入を分子設計し合成を行なった。その結果、設計した化合物すべてにかなり強いMAO阻害活性が認められただけでなく、MAO-AまたはMAO-Bに選択的に作用する化合物も見出された。このことは新規抗うつ薬やパーキンソン病治療薬の開発に一つの指針を与える貴重な知見であり、1991年の薬学雑誌に報告した。次いでMAO阻害以外の向精神作用の検索を試みて、一連の化合物の中からs-Triazolo(3,4-a)phthalazine(Tri-P)ほか数種に新しく抗不安作用を見出した。Tri-PはMAO阻害活性を示さなかったため今まで関心を払わなかった化合物であるが、今後は向精神薬開発のリード化合物として注目する必要を感じている。とくに従来のベンゾジアゼピン系化合物にみられる重大な副作用(学習ならびに記憶障害)を積極的に改善する化合物であることは特筆に値する重要な知見である。ところで、これら一連の化合物は、申請者により見出された新しいタイプの生理活性物質であるから体内動態についての研究報告は皆無である。そこで今年度は安全性確保の観点からMAO阻害活性を示す化合物の中からNTE、抗不安作用を示す化合物の中からTri-Pを選んで体内動態(脳内移行性、臓器分布、代謝、排泄など)を検討した。とくに化学構造の簡単なTri-Pについては、^<14>C標識化合物を合成してラットに投与し尿中代謝物の検索を行なった。その結果、7種の代謝物の単離同定に成功した。中でも今までに全く報告の無い新しいタイプの含硫黄代謝物が確認され、しかもこれが主代謝物であるとの興味ある知見が得られた。これについては薬物動態学会ならびに日本薬学会で報告済みであり、近々論文発表の予定である。
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[Publications] 今村 孝史,野田 敦子,柴田 重信,渡辺 繁紀,野田 浩司,小野 容子,後藤 茂,井上 善文: "ペントアンスレン型複素環化合物の抗不安作用" 薬学雑誌.
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[Publications] 野田 敦子,今村 孝史,野田 浩司,小野 容子: "Identification of rat urinary metabolites of a novel non-sedative orxiolytics,s-triozolo[3,4-a]phthalozine" Chemical and Pharmaceoticel Bulletine.