1991 Fiscal Year Annual Research Report
キノリン系化合物の遺伝毒性発現機構ーエナミンエポキシド説の展開
Project/Area Number |
03671060
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
川添 豊 名古屋市立大学, 薬学部, 教授 (80106252)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 和彦 名古屋市立大学, 薬学部, 助手 (40117833)
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Keywords | キノリン / 代謝活性化 / 発がん性 / エナミンエポキシド説 / ベイ領域エポキシド / 変異原性 |
Research Abstract |
多環縮合芳香族化合物の代謝物の中で、ベイ領域エポキシドが遺伝毒性発現に主たる役割を果たしているという説がほぼ定着している。ベイ領域を持たないナフタレンに対応する2環性の含窒素複素環芳香族化合物であるキノリンの強力な発癌代謝活性化機構として、我々はエナミンエポキシド仮説を提案した。本研究では、ベンゾキノリン類の変異原性を検討し、この説の普遍的妥当性の検証を試みた。 1.エナミンエポキシド生成にかかわるピリジン環部位にフッ素原子を導入すると変異原性が失われる事を確かめた。一方、解毒代謝にかかわるベンゼン環部位にフッ素を導入すると、一般に変異原性は増強された。フッ素が置換された位置が酸化的代謝をうけ難い事実を考慮すれば、これらの実験結果は本仮説を積極的に支持するものである。 2.本仮説に基づけば、代謝活性体がDNA中の求核中心と反応するのと平行して、水分子とも反応し、最終生成物として芳香族窒素のβー位に水酸基が導入された生成物が得られるはずである。現在までに変異原性が陽性であった化合物の代謝産物の中から例外なく当該水酸化体が検出された。一方、陰性の化合物からは検出されず、これらの結果も我々の仮説を強く支持するものである。
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Research Products
(1 results)