1991 Fiscal Year Annual Research Report
レチノイン酸と甲状腺ホルモンによるトロンボモジュリンの発現調節に関する研究
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03671064
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
堀江 修一 帝京大学, 薬学部, 講師 (60157063)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 秀美 帝京大学, 薬学部, 助教授 (50102710)
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Keywords | レチノイン酸 / トロンボモジュリン / 発現調節 / ビタミンA酸 / 内皮細胞 / 凝固調節 / 甲状腺ホルモン / レセプタ- |
Research Abstract |
トロンボモジュリン(TM)は、血管内皮細胞上に局在するトロンビンのレセプタ-であり、トロンビンの凝固作用を抗凝固作用に変換させる血液凝固調節タンパク質である。申請者は血管内皮細胞の培養系を用いることにより、内皮細胞表面に存在するTMの発現がレチノイン酸(RA)により高まることを見出し、この機構を解明するための検討を行なった。特に、TMの転写レベルでの調節について調べるために、ノ-ザンブロッティング法ならびに、reverse transcription polymerase chain reaction法の適用条件を確立した。 平成3年度の研究実績は以下にまとめられる。 1.RAによる血管内皮細胞のTM抗原量の増加は細胞膜表面での発現増加に基づくものであり、それはRAの濃度と処理時間に依存した変化である。 2.RAの処理によって本来の機能的なTM分子の増加が認められ、TMはトロンビンを介したプロテインCの活性化を著しく促進する補酵素活性を有している。 3.健常人の血中に存在するRA濃度で血管内皮細胞のTM抗原量は増加するので、正常時においてもRAは内皮細胞の抗血栓性機能に寄与している。 4.RAのTM発現に及ぼす作用はレチノ-ルやレチナ-ルに比較して強く、この作用本態はRAである。 5.この様なRAによるTMの発現増加はTM mRNA量の増加と対応しており、またTM mRNAの増加は安定性が高められた結果ではないので、RAはTMの転写促進を介してTMタンパク合成を亢進する。 6.RAによるTM mRNAの増加はcyclic AMPによるTM mRNAの増加とは異なった機構による。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Shuichi Horie: "Retinoic acid stimulates expression of thrombomodulin,a cell surface anticoagulant glycoprotein,on human endothelial cells:Difference between upーrogulation of thrombomodulin by retinoic acid and cyclic AMP." Biochem.J.281. 149-154 (1992)
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[Publications] 石井 秀美: "血管内皮細胞が産生する血栓調節因子のサイトカインによる発現異常とそれへの対応" 日本網内系学会会誌. 31. 345-353 (1991)