1991 Fiscal Year Annual Research Report
金属イオンの細胞膜透過機構の金属耐性変異細胞による解析
Project/Area Number |
03671065
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
越智 崇文 帝京大学, 薬学部, 助教授 (40129987)
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Keywords | カドミウム耐性細胞 / 金属の細胞膜透過性 |
Research Abstract |
すでに我々は、V79細胞におけるカドミウム耐性の機構はCdの細胞内への透過性の低下に基ずくことを明らかにしている。しかし、この透過性の低下は、透過に関わる分子の欠損によるのか、あるいは変異によりCdの透過を抑制する機構を獲得したことに基ずくのか明らかでない。そこで、まずCd耐性が遺伝的に優性形質であるのか劣性であるのかへの示唆を得るため、両細胞間の雑種細胞を単離し、それらの示す表現型を観察した。これに先立ち、Cd感受性細胞よりHGPRT^ー細胞を単離し、さらにこの細胞にneomycin耐性遺伝子(pSTneoB)をtransfectし、HGPRT^ー/neo^+/Cd感受性細胞を得た。この細胞とCd耐性細胞をpolyethlene glycol 1000を用いて融合し、HATとG418を含む培地で選択培養の後、30クロ-ンの雑種細胞を単離した。このうち7クロ-ンにつき、Cd毒性に対する感受性及びCdの細胞内蓄積速度を親細胞と比較したところ、雑種クロ-ン間でCd感受性及びCd蓄積速度に著しい相違が観察された。ただ、Cd感受性親細胞と同様な感受性を示した雑種クロ-ンにはG418に再び感受性を示すものが在ることが判明し、雑種細胞をHATとG418で選択後、短時間の内にneoが脱落した可能性も考えられた。しかし、調べたクロ-ン数も少なく、現段階ではCd耐性の優性・劣性の判定は不可であり、今後さらに多くのクロ-ンによりる解析が必要とされる。一方、Cd耐性・感受性両細胞の細胞膜の精製について、Dounceホモジナイザ-による細胞の破壊の条件を確立し、Percoll密度勾配遠心法により得た細胞画分の純度検定をマ-カ-酵素の測定により行ない、一応の膜画分の精製系を確立した。現在、両細胞の膜画分を電気泳動した後SH蛋白の分析をおこなっている。また、耐性細胞の膜画分を感受性細胞の細胞膜にフィトヘマグルチニンを用いて融合させ、一時的に耐性を獲得させることが可能か否か検討中である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Takafumi Ochi: "Cadmiumーresistant Chinese hamster V79 cells with decreased accumulation of cadmium" Chemico.ーBiological Interactions. 78. 207-221 (1991)
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[Publications] 越智 崇文: "金属に対する細胞防御と金属耐性細胞" 組織培養. 17. 38-41 (1991)