高選択性抗真菌剤開発を目的とする真菌ラノステロール脱メチル化酵素の構造解析

1993 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 03671075
• Research Institution: Mukogawa Women's Universtiy
• Principal Investigator: 吉田 雄三 武庫川女子大学, 薬学部, 助教授 (70085281)
• Keywords: ステロール脱メチル化酵素 / P450 / 抗真菌剤 / 構造活性相関 / ステロール生合成阻害剤

Research Abstract

前年度までの研究によって,真菌と動物のステロール14alpha脱メチル化酵素の間で基質ステロールの側鎖を認識する部位に相違があり,この部分と相互作用する構造を有するアゾール化合物が両者の酵素に対して異なる親和性を示すことを明らかにした。本年度はこの知見を基にして,アゾール系化合物の構造とP450に対する選択性の関係をより広範囲にわたって検討した。我々は既に肝臓ミクロゾームの薬物代謝に関与するP450は分子種によってアゾール系抗真菌剤に対する感受性が異なり,7‐エトキシクマリンの脱エチル化反応を触媒する分子種のひとつがケトコナゾールなど一般に用いられているアゾール化合物に比較的高い感受性を示すことを見出だしていた。そこで,この活性をモデルに選び,前年度に用いたと同じイソプレノイド置換基を有する一連のイミダゾール化合物の構造と阻害活性の関係を解析した。その結果,長さの異なるイソプレノイド置換基を持つアゾール化合物(AFK‐108,AFK‐110,AFK‐122)の阻害作用はイソプレノイド置換基の長さと逆の相関関係を持つことが明らかになった。この知見は,これら一連の化合物のエトキシクマリン脱エチル化活性に関与するP450に対する親和性が構造特異的な相互作用より,置換基の立体障害によって決められていることを示唆するものである。この場合,最も小さいプレニル基を有する誘導体のエトキシクマリン脱エチル化活性に対する阻害作用は,ラットのステロール脱メチル化酵素に対する作用より若干ではあるが高かった。しかし,ステロール側鎖に相当するゲラニル基を有する誘導体はステロール脱メチル化酵素を極めて低濃度で阻害するにも関わらず,7‐エトキシクマリン脱エチル化活性に対しては強い阻害作用を示さなかった。これらの結果は,ステロール脱メチル酵素は他のP450とは,異なり、ステロール側鎖に対して構造特異的な親和性を持つことを意味している。

Research Products

• [Publications] Aoyama,Y: "Different substrate specificities of lanosterol 14alpha‐demethylase (P450 14DM)of Saccharomyces cerevrsae and rat liver for・・・・" Biochem.Biophys. Res.Commun.178. 1064-1071 (1991)
• [Publications] Yoshida,Y.: "Sterol 14alpha‐demethylase and its inhibition" Biochem,Soc.Trans.19. 778-782 (1991)
• [Publications] Aoyama,Y.: "The 4beta‐methyl group of Substrate does not affect the activity of lavosterol 14alpha‐demethylase of yeast." Biochem.Biophys.Res.Commun.183. 1266-1272 (1992)
• [Publications] Tuck,S.F.: "Active Site topology of Saccharomyces cerevisiae lanosterol 14alpha‐demethylase(CYP51)and its G310D mutant(cytochnme P450 SG1)" J.Brol.Chem.267. 13175-13179 (1992)
• [Publications] Aoyama,Y.: "Stracturol anglysis of the interaction between the side‐chain of Substrates and the active site of lanosterol 14alpha‐demethylase of yeast" Biochim. Biophys. Acta. 1122. 251-255 (1992)
• [Publications] Aoyama,Y.: "Inhibition by a novel azole antifungal agent with a geronyl groop on lauosterol 14alpha‐dewethylase of yeast" Biochem.Pharmacol.44. 1701-1705 (1992)
• [Publications] Yoshida,Y.: "Cytochrome P450 2nd.ed." Kodansha & VCH, 292 (1993)
• [Publications] Yoshida,Y.: "CYTOCHROME P450(Handbook of Experimertal Pharmacology105)" Springer‐Verlag, 739 (1993)