1991 Fiscal Year Annual Research Report
炎症・疼痛制御に関わる末梢性オピオイドペプチドの遊離因子同定に関する研究
Project/Area Number |
03671076
|
Research Institution | Fukuyama University |
Principal Investigator |
塩見 浩人 福山大学, 薬学部, 教授 (60025715)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 和恵 福山大学, 薬学部, 助手 (30193577)
中村 明弘 福山大学, 薬学部, 助手 (70172393)
|
Keywords | ブラジキニン / 内皮依存性拡張因子 / NO合成酵素 / グルタチオン / NMDAレセプタ- / オピオイドペプチド / 痛覚過敏反応 / 抗侵害作用 |
Research Abstract |
1.末梢組織における発痛機序:発痛物質として有力な候補物質であるBradykinin(BK)をラット足蹠皮下に微量投与(3nmol/25μ1)し、圧侵害刺激を負荷すると、痛覚過敏反応が誘発された。この痛覚過敏反応はBKのレセプタ-の内、B_2レセプタ-拮抗薬の局所同時投与で抑制された。また、BKの作用は、内皮依存性拡張因子(EDRF:NO)合成阻害薬(No synthase阻害薬:NMMA、NAME)、NO阻害薬Hemoglobinの局所併用適用によっても抑制されたが、8ーbromoーcGMP、あるいはNO synthaseを介さないNO産生薬Nitroprusside、さらに、8ーbromoーcAMPの局所同時投与では有意な痛覚過敏反応の増強が認められた。BKの痛覚過敏反応はAspirinの同時投与で有意に抑制されるが、Prostaglandin E_2によって惹起された疼痛過敏反応は、NO synthase阻害薬では抑制されなかった。これらの事実は、BKの痛覚過敏反応は、B_2レセプタ-に結合し、NO〜cGMP系を介する機序と、Prostaglandin系を動かし、間接的に細胞内cAMPを増加させる機序の2つの系が存在すること、さらに、これら2つの系を作動させる引き金物質としてBKが作用していることが強く示唆された。 2.上記実験において、NO系が痛覚過敏反応に関与している事が明らかになったが、NOの産生に続く活性化酸素への移行も痛覚過敏・起炎作用に関与する事が想定されたので、活性酸素を捕捉する内因性物質Glutathione(GSH)に注目し、その抗侵害作用について検討した。GSHは強力な抗侵害作用を発現させ、この効果はOpioid(S)の拮抗薬であるNaloxoneの前処置で拮抗された。また、GSHの抗侵害作用は、Glutamateレセプタ-の内、NMDAレセプタ-の拮抗薬、MKー801の前処置でも抑制された。これらの結果から、GSHは、内因性Opioid peptide(S)遊離を介して抗侵害作用を発現させる事、この作用発現にはNMDAレセプタ-が関与している事を明らかにした。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] 塩見 浩人: "内因性睡眠物質候補、酸化型グルタチオン(GSSG)の鎮痛作用様式" 生理学研究所年報. 13. (1992)
-
[Publications] SHIOMI,Hirohito: "Potent antinociceptive effects of centrally administered glutathion and glutathion-disulfide in mice." Japan J.Pharmacology Suppl.55. 311 (1992)
-
[Publications] MURAKAMI,Yoshifumi: "Production of anti-bradykinin and anti-substance-P monocronal antibodies and evaluation of their antinociceptive effects." Japan J.Pharmacology Suppl.55. 183 (1992)