1992 Fiscal Year Annual Research Report
微細血流構造と血管内皮形状の関連より見た動脈硬化発症進展過程の解析
Project/Area Number |
03671088
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
小笠原 康夫 川崎医科大学, 医学部, 講師 (10152365)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻岡 克彦 川崎医科大学, 医学部, 助教授 (30163801)
梶谷 文彦 川崎医科大学, 医学部, 教授 (70029114)
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Keywords | 血流分布 / 血管分岐 / 動脈硬化 / 血管内皮細胞 / 共焦点型レーザ走査顕微鏡 |
Research Abstract |
本研究は微細な流れの構造や局所的な血行力学的因子を詳細に検討し、血管壁細胞の形態や機能などに与える影響を総合的に解析することによって、動脈硬化病変の局在化の機構、および進展の機序を解明することを目的とした。初年度は、動脈硬化の初期病変が生じやすい腎動脈分枝入口頭側の局所血流動態は、相対的低ずり速度、流れの剥離と時間的振動性が特徴的であることを示した。それに続いて本年度は、大動脈ー腎動脈血管分岐部における内皮細胞の形態的・機能的分布を共焦点型レーザ走査顕微鏡を用いて明らかするため、蛍光染色剤であるローダミン・ファロイディンによりFアクチンを染色し、細胞内ストレスファイバの3次元的構造評価を行なった。さらに、ビスベンジマイドにより細胞核内DNAの染色を行い、内皮細胞の核の形状、分布状況の計測評価を行った。この2種類の蛍光色素による二重染色により、内皮細胞骨格の詳細な形状、機能評価が可能となった。その結果、動脈硬化の初期病変が生じやすい腎動脈分枝入口頭側、すなわち低ずり速度、流れの剥離と時間的振動性が特徴的である部位においては、細胞形状は歪であり、核形状は円形に近く、その配置には秩序がなくランダムであり、かつ細胞内ストレスファイバの観測量は少なかった。一方、腎動脈分枝入口尾側あるいは腎動脈分岐末梢部などずり速度が大きい部位においては、細胞形状は流れに添って細長く配列し、核の形状は楕円形を呈してかつ流れの方向に添って配向していた。また、ストレスファイバも流れの方向に走行し、かつ細胞内にも多く存在していた。このように、局所的な血行力学的因子と内皮細胞の形態が密接に関連していることが明かとなり、局所血流動態が動脈硬化の局所的な発生・進展に密接に関連することが窺われた。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Chris J. et al.: "Blood velocity distributions within intact canine arterial bifurcations" American Journal Physiology. 262. H1592-H1599 (1992)
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[Publications] Tokunori Yamamoto et al.: "Blood Velocity Profiles in the Origin of the Canine Renal Artery and Their Relevance in the Localization and Development of Atherosclerosis" Arteriosclerosis and Thrombosis. 12. 626-632 (1992)
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[Publications] 小笠原 康夫 他: "血管分岐部内微細血流構造と動脈硬化発症進展過程" 病態生理. 12. 150-154 (1993)
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[Publications] 徳田 周子 他: "共焦点型レーザスキャン顕微鏡による血管壁微細構造の3次元的観察" 第16回大阪大学BME研究会コロキアム講演論文集. 21-26 (1993)
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[Publications] 小笠原 康夫 他: "20MHz超音波パルスドプラ血流速計による冠血流の計測ードプラ信号ベクトルパターンの輪郭検出によるピーク血流速度検出ー" 電子情報通信学会技術報告. 39-42 (1992)
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[Publications] Fumihiko Kajiya et al.: "Blood Velocity Patterns in Poststenotic Regions and Velocity Waveforms for Myocardial Inflow Associated with Coronary Artery Stenosis in Dog" Transactions of ASME Journal of Biomechanical Engineering. 114. 385-390 (1992)