1991 Fiscal Year Annual Research Report
ペプチド作動性血管拡張性神経伝達におよぼす抗高血圧薬の作用
Project/Area Number |
03671100
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Research Institution | 宮崎医科大学 |
Principal Investigator |
川崎 博己 宮崎医科大学, 医学部, 助教授 (60125151)
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Keywords | 血管拡張性神経 / カルシトニン遺伝子関連ペプチド / 抗高血圧薬 / 高血圧自然発症ラット / 抵抗血管 |
Research Abstract |
全身血圧の調節維持に重要な役割を果たしている内臓血管の抵抗血管にはカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)を伝達物質とするペプチド作動性の血管拡張性神経が分布し、抵抗血管の機能調節に寄与している。本態性高血圧の優れた動物モデルの高血圧自然発生ラット(SHR)では、CGRP含有血管拡張性神経の活動が加齢によって減弱することから、高血圧成因には血管拡張性神経の活動減弱が関与していると考えられる。従って、拡張性神経活動を改善する薬物は本態性高血圧の根本的な治療薬になり得る可能性があると考え、平成3年度の研究において、現在高血圧の治療に用いられている抗高血圧薬がSHRにおいて減弱した血管拡張性神経伝達を改善するものがあるかどうか検討した。 抗高血圧薬としてβー受容体遮断薬(PindololとPropranolol)、アンギオテンシン変換酵素阻害薬(Captopril)、Ca拮抗薬(Nicardine)および血管拡張薬(Hydralazine)を用いた。これらの抗高血圧薬を飲料水(0.05%Pindolol,0.1%Propranolol,0.1%Captopril,0.005%Hydralazine)あるいは固形飼料(0.05%Nicardipine)として8週齢SHRに与え、15週齢まで7週間飼育した。15週齢時に麻酔下に頚動脈圧を多用途プリアンプ装置(RMPー6008)および圧トランスデュサ-(P23XL)にて測定した結果、いずれの抗高血圧薬慢性投与したSHRの血圧は対照SHRに比較して有意に低値を示した。各抗高血圧薬投与SHR群、無処置SHR群および無処置正常血圧WKY群において腸間膜潅流標本における経壁電気刺激(経壁電気刺激装置SENー3301)による神経性血管拡張反応を検討した結果,Pindolol,PropranololおよびHydralazine投与SHR群の神経性拡張反応の大きさは無処置SHR群と同程度である、WKY群の反応に比較して有意に小さかった。Nicardipine投与SHR群の反応は無処置SHR群の反応よりも有意に小さかった。一方、Captopril投与SHR群の拡張反応は無処置SHR群の反応よりも有意に大きく、WKY群の反応とほぼ同程度であった。以上のように抗高血圧薬の慢性投与はSHRの血圧を低下させたが、CaptoprilのみがCGRP含有血管拡張性神経機能を改善させるという新たな知見がえられた。この結果はCaptoprilの降圧作用機序を解明するのは重要なdataと思われる。
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Research Products
(1 results)