1991 Fiscal Year Annual Research Report
高コレステロ-ル血症におけるアポ蛋白EDNA転写昴進機序に関する研究
Project/Area Number |
03671128
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
松島 照彦 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (60199792)
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Keywords | アポ蛋白E / コレステロ-ル / 転写因子 |
Research Abstract |
食事性にコレステロ-ルを負荷するとアポ蛋白E合成の亢進がみられ、これは受容体を介してのリポ蛋白粒子の代謝を促進する合目的的な反応と考えられる。アポ蛋白Eの遺伝子DNAレベルにおけるコレステロ-ルによる調節機構を解明することを目的として、今回、アポ蛋白E遺伝子DNA制御領域の培養細胞における合成制御能と外的因子の影響の観察、および、転写・合成昴進状態におけるDNAー核蛋白結合体形成の観察を行なった。 1.アポ蛋白E遺伝子のCATアッセイ系の確立とコレステロ-ル負荷による変化:モルモットアポ蛋白E遺伝子DNAの5'上流から第2エクソンの開始コドンATG直前までを、CATベクタ-に組み込んだ。モルモットの初代培養肝細胞に、この組換えプラスミドを取り込ませたところCATの発現が認められ、これを用いてアポ蛋白E遺伝子の転写活性の測定系とする事ができると考えられた。普通食飼育、および高コレステロ-ル食飼育したモルモットの初代培養肝細胞にそれぞれプラスミドを取り込ませたところ、コレステロ-ル負荷肝細胞において、より強い転写活性が認められ、コレテスロ-ル負荷によりアポ蛋白Eの合成が遺伝子転写のレベルにおいて促進されている事が判明した。 2.アポ蛋白E遺伝子DNAと肝核蛋白の結合の観察:モルモットの肝臓より核を精製し、核蛋白を調製した。ゲルシフト法によりアポ蛋白E遺伝子DNAー核蛋白の特異的な結合が認められた。コレステロ-ル負荷動物からの肝核蛋白を用いたところ、新たに出現する結合、消失する結合がある事が観察された。Southwestern blottingにより110kD、33kDの結合蛋白が同定された。この内、33kD蛋白はコレステロ-ル負荷時に著しく減少し、転写抑制性の調節因子である可能性が示唆された。
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