1991 Fiscal Year Annual Research Report
バゾプレシン・ニュ-ロフィジンII遺伝子の転写制御および発現に関する研究
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03671142
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大磯 ユタカ 名古屋大学, 医学部, 助手 (40203707)
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Keywords | バゾプレシン遺伝子 / 家族性中枢性尿崩症 / 蛋白発現 / 糖蛋白 / ニュ-ロフィジン / 転写制御 |
Research Abstract |
(1)今回の研究で新たに検討した家族性中枢性尿崩症の第2家系において、バゾプレシン・ニュ-ロフィジンII(AVPーNPII)遺伝子のexon1に1塩基置換の異常が見い出された。その結果、シグナルペプチドのCOOH末端(positionー1の位置)のアミノ酸であるアラニンがスレオニンに置換することが予想された。正常AVPーNPIIcDNAおよびprimerーdirected mutagenesisにより作製した異常AVPーNPIIcDNAから、in vitro transcriptionによりそれぞれのmRNAを合成した。兎の網状赤血球のライセ-トを用いて、マイクロゾ-ムメンブラン存在および非存在下においてmRNAを翻訳した結果、遺伝子異常によりシグナルペプチデ-スによるシグナルペプチドの切断効率が著しく低下していることが判明した。現在、シグナルペプチデ-スによるプレプロホルモンの切断部位を明らかにするため、プロホルモンのアミノ酸配列の同定を行っている。 (2)正常AVPーNPIIcDNAの発現系としてchinese hamster ovary細胞、AtTー20細胞を選び、遺伝子導入を行い、ネオマイシンのアナログであるG418を用いて選別の後、pulse chase analysisによりAVPーNPIIcDNAの導入されたクロ-ンをスクリ-ニングした。こうして得られたstably transfected clonesを用いて、前駆体のプロセッシングおよびプロセッシング後のAVP・ニュ-ロフィジン・糖蛋白の分泌機序について現在解析を行っている。一方、既に我々が検討を行った第1家系においては、AVPーNPII遺伝子のニュ-ロフィジンをコ-ドする領域に塩基置換が認められ、この異常に基づき正常とは異なるプレプロホルモンの産生が想定されている。現在、異常AVPーNPIIcDNAの導入されたクロ-ンのスクリ-ニングを行っている。
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