1992 Fiscal Year Annual Research Report
バゾプレシン・ニューロフィジンII遺伝子の転写制御および発現に関する研究
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03671142
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大磯 ユタカ 名古屋大学, 医学部, 助手 (40203707)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 雅史 名古屋大学, 医学部, 医員
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Keywords | バゾプレシン / ニューロフィジン / 家族性中枢性尿崩症 / 遺伝子異常 / 遺伝子発現 / シグナルペプチド |
Research Abstract |
1.我々は先に、家族性中枢性尿崩症の1家系(第1家系)でバゾプレシン-ニューロフィジンII(VP-NP)遺伝子の異常を報告しているが、今回新たに別の3家系について解析を行った。第2家系ではexon1に1塩基置換があり、signal peptideのC端のAlaがThrに置換されていることが判明した(J.Clin.Invest.In press)。第3.4家系では第1家系と同様に、NPの中央部分をコードしているexon2に遺伝子異常が見い出された。第3家系では3塩基欠失のため1アミノ酸が欠損し、第4家系では1塩基置換の結果stop codonが出現する(いずれも投稿準備中)。 2.第2家系でsignal peptideに見い出された異常は、翻訳後初期の段階に影響を及ぼす可能性が高いため、無細胞系を用いた発現実験を行った。正常および異常mRNAを兎網赤血球のライセートにより翻訳すると、19kDaのpreproVPが産生された。正常のpreproVPは、犬の膵臓のrough microsomeを添加することにより21kDaのproVPに変換された。しかしながら、異常preproVPのproVPへのprocessingは著しく低下しており、signal peptideが切断されないままにglycosylationだけを受けた23kDaの異常前駆体が産生されていた。したがってこの家系においては、signal peptidaseによるprocessingが障害されproVPの産生が低下することが、尿崩症の発症に関与しているものと考えられた(J.Clin.Invest.In press)。 3.正常のVP-NPcDNAを組み込んだ発現ベクターを種々の細胞に導入し検討することにより、VP-NP遺伝子の発現実験系を確立した。今後この系を用いて、第1,3,4家系における尿崩症の発症機序を検討していく予定である。
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[Publications] M.Ito et al.: "Possible involvement of inefficient Cleavage of preprovasopressin by signal peptidase as a cause for familial central diabetes insipidus" J.Clinical Investigation (in press).
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[Publications] 伊藤雅史、他: "尿崩症の遺伝子解析" 最新医学. 47. 1569-1571 (1992)
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[Publications] 大磯ユタカ、他: "内分泌疾患の遺伝子診断:中枢性および腎性尿崩症" ホルモンと臨床. 40. 1279-1283 (1992)
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[Publications] Y.Oiso et al.: "The Pituitary Gland,2nd Edition.(in press)" Raven Press,