1991 Fiscal Year Annual Research Report
家族性異常グルココルチコイド受容体の分子遺伝学的解析
Project/Area Number |
03671149
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
飯田 さよみ 大阪大学, 医学部, 助手 (40159554)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 宏 大阪大学, 医学部附属病院, 医員
難波 光義 大阪大学, 医学部, 助手 (00183533)
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Keywords | コルチゾ-ル / 抵抗症 / グルココルチコイド受容体 / 受容体遺伝子 / シ-クエンス / 家族性 / 形質転換リンパ球 / 線維芽細胞 |
Research Abstract |
私どもはグルココルチコイド受容体数の減少に起因する原発性コルチゾ-ル抵抗症の一家系を見い出し、その臨床研究を継続している。末梢血単核球、培養皮膚線維芽細胞およびEpsteinーBarrウィルスでは形質転換したリンパ球を用いてグルココルチコイド受容体測定を行った結果、本症例では受容体のグルココルチコイドへの親和性は正常であるが、受容体数が正常の半分に減少していることを概に確認した。形質転換したリンパ球を用いてRNAおよびDNAを抽出しグルココルチコイド受容体遺伝子の解析を行った。総RNAより逆転写をおこないcDNAを作成。グルココルチコイド受容体遺伝子の塩基配列中で最適のプライマ-となるオリゴヌクレオチドを合成し、PCRにて増幅した。cDNAのみならずゲノムDNAからも受容体遺伝子の解析をおこなった。その結果、本症例ではコルチゾ-ルの結合領域をコ-ドする塩基配列のうち3個のアデニンが欠損していることが明らかとなった。本症例の発端者である息子、母親の二名において同様の欠損がある。正常者ではこのような欠損はみられない。この異常は、本症例のグルココルチコイド受容体遺伝子の半分にみられる(ヘテロ接合体)。この異常により受容体のコルチゾ-ルへの結合能がなくなるのかどうかは、異常受容体を発現させて受容体測定の結果、判定可能となる。現在のところ、PCR産物からの直接シ-クエンス法を用いて、コルチゾ-ルへの結合領域をコ-ドする800塩基対の塩基配列を決定したところである。同じ方法で、ひきつづき上流の約1600塩基対のシ-クエンスをおこなっている。
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[Publications] S.Iida,K.Moriwaki,H.Fujii,M.Gomi,M.Tsugawa,Y.Nakamura,T.Kitani and s.Tarui: "Quantitative comparison of aromatase induction by dexamethasone in fibroblasts fibroblasts from a patient with familial cortisol resistance and a patient with cortisol hyperreactive syndrome." J.Clin.Endocrinol.Metab.73(1). 192-195 (1991)
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[Publications] 五味 正裕,藤井 宏,飯田 さよみ,森脇 要: "ステロイドホルモン不応症" Pharwa Medica. 9(5). 37-41 (1991)
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[Publications] 飯田 さよみ,森脇 要: "コルチゾ-ル過敏症候群と不応症" ホルモンと臨床. 39(11). 1159-1163 (1991)
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[Publications] 飯田 さよみ,森脇 要: "コルチゾ-ル過敏症候群" 医学のあゆみ. 156(12). 787 (1991)